イタリア人医学生リッカルドは奨学金を得て、紛争地域であるガザ地区へ留学することを決意する。友人たちは彼の安全を心配し、動揺を隠せない。だがリッカルドの将来の夢は救急外科医。爆発性弾丸による外傷についての論文を書いている彼にとって、ガザ行きは医師になるための実践経験となる。ところが周囲をフェンスで封鎖され、“天井のない監獄”と呼ばれるガザに入るのは容易ではなく、イスラエル、パレスチナ自治政府、そしてハマスの3つの異なる当局からの許可を得なければならない。やがて、複雑なプロセスを経て、欧州から初の留学生としてガザ・イスラム大学に到着したリッカルド。学長に歓迎され、ガザ内外のメディアから次々とインタビューを受けるなか、多くの期待と注目を集める彼はプレッシャーを感じ始める。救急医療の現場に入り、本当に自分は外科医に向いているのかと自問し、不安やストレスに潰されそうになる。そんな彼を救ったのは、同じく医師を目指す医大生サアディらパレスチナ人の若者たちだった。片言のアラビア語を話すリッカルドは現地で人気者となり、次第に自分の居場所を見つけてゆく。だがイスラエルとの紛争が再燃するとリッカルドは難しい選択を迫られることに。安全のためガザを一時的に離れた彼は、ガザを出られない友人たちに心配を募らせる。しばらくしてガザに戻ったリッカルドは無事だった仲間と再会し、再び絆を深めてゆく。そしてすぐに緊迫する救急医療の現場へと飛び込み、傷ついた人々の治療に当たる。至近距離で爆撃を受ける体験をしながらも、やがてリッカルドは救急外科医になる決意を固めてゆくのだった……。