東京都大田区の生まれ。本名・中村亨。専修大学文学部在学中の1985年、那須博之監督「ビー・バップ・ハイスクール」の出演者公募に応募し、5963人の中から主人公の中間トオル役に抜擢される。清水宏次朗演じる相棒・ヒロシとのコンビでツッパリ高校生役に扮して好評を博し、毎日映画コンクール、日本アカデミー賞、ゴールデンアロー賞映画部門などの新人賞に多数輝いた。大ヒットによりシリーズ化された同作は88年最終作「高校与太郎完結篇」まで6作が製作され、仲村は全作に主演する。続いて86年、舘ひろし・柴田恭兵主演の日本テレビの刑事ドラマ『あぶない刑事』に、新米刑事の町田トオル役でレギュラー出演。こちらも大人気によりシリーズ化され、テレビシリーズの続編と87年の長谷部安春監督「あぶない刑事」以降、劇場版6作が作られる。シリーズ最新作である2005年の鳥井邦男監督「まだまだあぶない刑事」では、新人だった町田が捜査課長にまで出世した姿を演じている。この人気シリーズ2作と並行して、那須監督「紳士同盟」86、「新宿純愛物語」87、澤井信一郎監督「ラブ・ストーリーを君に」88、森田芳光監督「悲しい色やねん」88などに主演。「ビー・バップ」「あぶ刑事」のコミカルなイメージに対してシリアスな役柄が多く、興行的にはあまり振るわなかったが、映画界から久々に生まれた若手スターとして、以降も澤井監督「福澤諭吉」91、工藤栄一監督「赤と黒の熱情」92、出目昌伸監督「きけ、わだつみの声」95などの大作・話題作に好助演を重ねる。また、東映Vシネマ『狙撃』89~94でのクールなスナイパー役や、村川監督「ニューヨークUコップ」93、ノーベルト・ハーバー監督「刺青/IREZUMI」94などの“東映Vアメリカ”作品に参加することで大人の俳優として着実に成長。松島哲也監督「LEVEL」94では小規模公開作ながら初めて東映系以外の映画で主役を張り、高橋伴明監督「迅雷・組長の身代金」96では、やくざの組長を誘拐し身代金の強奪を企む主人公を好演する。一方、テレビドラマでも多数活躍し、日本テレビ『勝手にしやがれ・ヘイ!ブラザー』89、『そのうち結婚する君へ』94、テレビ朝日『ゴリラ・警視庁捜査第8班』89、『炎の消防隊』96、NHK『信長』92、『琉球の風』93、TBS『俺たちルーキーコップ』92、『ひと夏のプロポーズ』96、『職員室』97、『週末婚』99、フジテレビ『29歳のクリスマス』94、『眠れる森』98、『氷の世界』99など、シリアスからコメディまで、初期の主演作から次第に脇の重要なポジションへと推移しつつ、性格俳優としての地位を確立していく。その間、映画は中田秀夫監督「暗殺の街」97で警察内部の犯罪を調査する監察官の主人公を演じたほか、香港映画の「ジェネックス・コップ」99、「東京攻略」00に相次いで出演して以降、アジア圏を中心とした海外での活躍が本格化し、02年の韓国映画「ロスト・メモリーズ」では、日本人俳優として初めて韓国・大鐘賞助演男優賞を受賞するという快挙に繋がる。その後も、中国映画「パープル・バタフライ」でチャン・ツィイーと共演。国内でも、久々の森田監督とのコンビとなった「海猫」04、「わたし出すわ」09や、万田邦敏監督「UNLOVED」02、「ありがとう」06、西谷真一監督「花」03、鶴橋康夫監督「愛の流刑地」07、本広克行監督「少林少女」08、佐藤嗣麻子監督「K−20/怪人二十面相・伝」08、羽住英一郎監督「おっぱいバレー」09、木村大作監督「劒岳・点の記」09など多数に助演。硬軟演じ分けるバイプレイヤーとして名を馳せる一方、08年の万田監督「接吻」では高崎映画祭の主演男優賞を獲得し、阪本順治監督「行きずりの街」10では、失踪した元教え子を探すうちに自らの過酷な運命に立ち向かっていく塾講師の主人公をハードに熱演した。ドラマはほかに、テレビ朝日『つぐみへ…・小さな命を忘れない』00、『眠れぬ夜を抱いて』02、『けものみち』06、『四つの嘘』08、TBS『恋を何年休んでますか』01、『華麗なる一族』07、NHK『こころ』03、『風の果て』07、フジテレビ『東京湾景』04、『救命病棟24時』『海猿』05、WOWOW『空飛ぶタイヤ』09など多数。フジテレビ『チーム・バチスタの栄光』08に始まる『チーム・バチスタ』シリーズ08~11では厚生労働省の役人・白鳥圭輔に扮し、変人のキャラクターを怪演して好評を得ている。95年、TBS『俺たちルーキーコップ』で共演した鷲尾いさ子と結婚、二女がある。