山口県下関市の生まれ。早稲田大学商学部在学中から演劇に熱中。1980年に卒業したのち、仲代達矢主宰の“無名塾”に入り、『ソルネス』で初舞台を踏む。以後、『マクベス』『ハムレット』などに出演する傍ら、映画にも少しずつ出るようになる。84年、早川光監督の自主プロ作品「アギ・鬼神の怒り」に鬼を征伐する中世の侍役で主演。ほかにも工藤栄一監督「野獣刑事」82の殺人犯、石山昭信監督「テラ戦士ΨBOY」85の超能力怪人などの特異な役があり、知る人ぞ知る存在だった88年、伊丹十三監督「マルサの女2」で宮本信子の同僚の国税局査察官役に抜擢される。長身のポーカーフェイスからユーモアが滲み出る魅力が初めて広く注目され、同年のNHK『続・イキのいい奴』でのとぼけた好演も評判になった。脇の巧演者像の定着以降は、原隆仁監督「夜逃げ屋本舗」92~95の中村雅俊のパートナー役をはじめ、さまざまな映画に出演するようになる。とりわけ山田大樹監督「七人のおたく」92や渡邊孝好監督「ぷりてぃ・ウーマン」03などでの、真面目な人物が困惑するコメディ演技は出色。テレビ朝日『京都地検の女』05~などテレビドラマの出演も数多く、厳しいが血の通った刑事や弁護士の役などを得意とする。その間も、三谷幸喜・作『出口なし!』『君となら』『巌流島』に連続出演するなど、コンスタントに舞台に立ち、近年は『炎の人』のゴーギャン役で知られる。無名塾以来の仲間・役所広司の監督作「ガマの油」09では、役所演じる主人公の心に生きるガマの油売り役。主演をつとめた緒方篤監督「脇役物語」10では、主人公の万年脇役俳優の悲哀より好人物の清潔感が強く出た点に、比重に関係なく役を生きる演技者の自負が窺えた。