神奈川県横浜市の生まれ。俳優・緒形拳の長男として生まれ、1歳下の弟・直人も俳優。日本大学を中退後、父が所属する事務所で小林稔侍らのマネージャーをつとめるうちに、自らも俳優を志すようになる。1989年、父の反対を押し切り、TBS『淋しい女は太る』で俳優デビュー。翌90年には、人気シリーズの4作目にあたる山下耕作監督「極道の妻(おんな)たち・最後の戦い」のチンピラ・高木真一役で映画初出演する。91年には、年末年始の帰省ラッシュに巻き込まれて、なかなか故郷にたどり着けない家族の悲喜劇を描いた黒土三男監督「渋滞」に出演。ぶっきらぼうだが、ガス欠で立ち往生していた一家に救いの手を差し伸べるトラック運転手を好演した。澤田幸弘監督「撃てばかげろう」91を経て、92年の黒沢清監督「地獄の警備員」では、謎の殺人鬼の警備員に異様な執着を持たれてしまうヒロインの同僚に扮し、見事な死にざまを披露。93年の鹿島勤監督「悪役パパ」では、悪役専門の主人公が主演に抜擢された時代劇の監督役を演じた。その後も、榎戸耕史監督「渇きの街」97、矢口史靖監督「アドレナリンドライブ」99などを経て、黒土監督と二度目のタッグとなる「蝉しぐれ」05に出演。魔剣の使い手で、主人公・牧文四郎の永遠のライバルとなる犬飼兵馬役に、大幅に体重を落として並々ならぬ覚悟で臨み、新境地を開拓する。2009年の加納周典監督「約束の地」では、喘息の息子のために、引っ越してきた先で出逢った少女の夢を叶えるべく奔走する心優しき父親を好演した。テレビドラマの主な出演作に、日本テレビ『野望の国』89、TBS『デパート!夏物語』91、『赤い迷宮』93、『居酒屋もへじ』11、テレビ東京『パパと呼ばせて!』92、『かりゆし先生ちばる!』09、テレビ朝日『ツインズ教師』93、『外科医・柊又三郎』95、『銭形平次』04、NHK『夢暦長崎奉行』96、『鶴亀ワルツ』99、『葵・徳川三代』00、『坂の上の雲』10など。舞台は『信濃の一茶』01、『乱れて熱き吾身には』02などがある。NHK『白洲次郎』09では小林秀雄、荒戸源次郎監督「人間失格」10では井伏鱒二を演じるなど、著名人をさりげなく息づかせることができるのも、彼独特の静謐な個性である。