神奈川県横浜市の生まれ。本名・佐藤忠信。1988年、オーディションに合格して、TBS『3年B組金八先生』の第3シリーズに生徒役のひとりでレギュラー出演し、俳優デビュー。90年の松岡錠司監督「バタアシ金魚」で筒井道隆演じる主人公のライバル・ウシ役を演じて、映画初出演を飾る。以後も、木村淳監督「あいつ」91、大林宣彦監督「青春デンデケデケデケ」92、滝田洋二郎監督「眠らない街・新宿鮫」93、竹中直人監督「119」94などに出演。95年の是枝裕和監督「幻の光」では、江角マキコ演じるヒロインと結婚するが突然自殺してしまう夫・郁夫に扮する。岩井俊二監督がフジテレビで撮った深夜ドラマで、のちに劇場公開もされた『FRIED DRAGON FISH』93では、時価数千万のドラゴンフィッシュの行方を追う女オペレーター役の芳本美代子と心を通わせる孤独なテロリストの青年・ナツロウ役で出演。96年公開の岩井監督「PICNIC」でも、病院の塀の上を伝って“世界の終わり”を探す旅に出る心を病んだ青年・ツムジ役で不思議な魅力を発揮する。この作品で共演した歌手のCharaと95年3月に結婚(09年離婚)。また、この96年は青山真治監督のデビュー作「Helpless」、井坂聡監督「[Focus]」と主演映画が相次ぎ、飛躍の年となった。俳優活動の初期はNHK『春の一族』93、『命捧げ候・夢追い坂の決闘』96、『翔ぶ男』98、TBS『バスガイド愛子』93・94、日本テレビ『麻酔』94などテレビドラマにも出演していたが、テレビの製作サイクルが肌に合わず、やがて映画に専念するようになる。石井聰亙監督「ユメノ銀河」97、庵野秀明監督「ラブ&ポップ」98などの助演を経て、石井輝男監督「ねじ式」98に主演。石井克人監督「鮫肌男と桃尻女」99では、一億円を横領し偏執的な叔父から逃れてきたトシコを連れて逃亡する鮫肌黒男をスタイリッシュに演じる。この99年には、内戦の激化する70年代のカンボジアで消息を絶った実在の戦場カメラマン・一ノ瀬泰造の生涯を描いた五十嵐匠監督「地雷を踏んだらサヨウナラ」で、毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。同年の大島渚監督「御法度」では、松田龍平演じる新撰組の美貌の新人隊士に男色を教える田代彪蔵に扮した。翌2000年の石井聰亙監督「五条霊戦記」では平家の武者から鬼と恐れられる狂気の義経を演じ、「御法度」と併せて報知映画賞助演男優賞に輝く。その後も、是枝裕和監督「ディスタンス」01では無差別殺人を犯したカルト教団の元信者役、相米慎二監督の遺作となった「風花」01では小泉今日子演じる風俗嬢の故郷・北海道への旅に同行する謹慎中のエリート官僚に扮し、酒に溺れる情けない一面や旅の中で芽生える恋心をリアルに表現。三池崇史監督「殺し屋1」01では、ただ痛めつけられたいがために殺し屋イチを追うマゾヒストのヤクザ・垣原を怪演した。さらに、北野武監督「座頭市」03の座頭市と死闘を繰り広げる用心棒役、黒沢清監督「アカルイミライ」03の工場長を殺害し自殺する青年・守役などで存在感を発揮する一方、04年には「TORI」で初監督もつとめる。山田洋次監督「母べえ」08の反戦思想を持つ夫が検挙され悲しみにくれる吉永小百合ら一家の支えとなる青年役、木村大作監督「劒岳・点の記」09の日本地図を完成させるため前人未到の雪山に命がけで挑む測量手・柴崎芳太郎役、根岸吉太郎監督「ヴィヨンの妻・桜桃とタンポポ」09の酒に溺れて借金と浮気を繰り返す無頼の作家・大谷役など、近年はメジャー系の作品でも好助演が続き、危険なアウトローから普通の男まで見事に演じ分ける実力派俳優としての地位を不動のものとした。また、香港映画界の名カメラマン、クリストファー・ドイルが監督した「孔雀」99などを皮切りに海外でも多く活躍している。タイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督「地球で最後のふたり」03に自殺志願の青年・ケンジ役で主演し、ヴェネチア国際映画祭でコントロコレンテ部門の主演男優賞を受賞。台湾の侯孝賢監督が日本で撮った「珈琲時光」04などを経て、ロシアのセルゲイ・ボドロフ監督「モンゴル」07では若き日のチンギス・ハーンを演じ、作品自体も米アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされるなど注目を集めた。11年、ケネス・ブラナー監督「マイティ・ソー」に主人公をサポートする三銃士のひとり、ホーガン役で出演し、ハリウッド進出も果たす。