長野県伊那市の生まれ。駒沢大学文学部を中退後、1982年に野田秀樹主宰の劇団夢の遊眠社に入団。同年の『野獣降臨』を皮切りに、90年の『半神』では主演もつとめたほか、92年の解散まで同劇団の全公演に出演して、舞台俳優として活躍を続ける。その間の87年、日本テレビのフレッシュドラマシリーズの一作『僕の先生モヒカン刈り』でテレビドラマ初出演。遊眠社解散後は映像ジャンルに本格的に進出し、94年のTBSの昼帯ドラマ『ぽっかぽか』では、幼い一人娘に“ちち”と呼ばれる心優しき父親役をナチュラルに快演して人気を集める。同作は好評でシリーズ化され、のんびり屋の妻に扮した七瀬なつみとともに96年の第3作まで出演した。その後もほのぼのとしたホームドラマや恋愛コメディなどの印象が強い一方、2時間サスペンスの容疑者役などアクの強い人物も数多く演じるようになるが、99年から参加した日本テレビ『刑事鬼貫八郎』シリーズでは、大地康雄扮する糖尿病持ちの刑事のお目付け役をつとめる部下を飄々と演じて印象を残す。映画は、95年の原隆仁監督「大夜逃・夜逃げ屋本舗3」で初出演。極悪非道な不良債権回収業者の奴隷として、借金まみれの両親の代わりに働く勤勉な孝行息子を好演した。舞台、テレビドラマの活躍に比べると映画出演はそう多くないが、2000年の浜本正機監督「ekiden/駅伝」では、寄せ集めの駅伝チームの個性あふれるメンバーのひとりに扮し、社員の嫌われ者の人事担当者が駅伝の魅力に惹かれていくさまを、舞台で鍛え上げた身体能力も活かして力演。冨樫森監督「非・バランス」01では、事故で動けないのをいいことに、借金の連帯保証人となっていた陽気なオカマの“菊ちゃん”から笑顔を奪っていく昔なじみの非情な男を憎々しく演じた。07年の小松隆志監督「幸福な食卓」では、かつて自殺未遂を起こしたトラウマを抱えたまま、父親の座から降りて大学受験を目指す、自分勝手であるが傷つきやすい未熟な一家の主を繊細に演じ、一作ごとに趣の異なる演技を披露している。テレビドラマはほかに、TBS『誰にも言えない』93、『QUIZ』00、『マイリトルシェフ』02、『砂時計』07、テレビ朝日『お前の諭吉が泣いている』02、『バラ色の聖戦』11、NHK『新選組!』04、テレビ東京『コスプレ幽霊・紅蓮女』08、日本テレビ『赤鼻のセンセイ』09など多数。舞台も、幅広いジャンルの作品で精力的な活動を続けている。