大阪府の生まれ。府立天王寺高校卒業後の浪人時代に、京都大学の西部講堂で初めて生の演劇に出会い、演劇の世界に惹かれていく。その後、いったん入学した大学で早稲田大学演劇研究会のステージを観劇し、そのレベルの高さに感化されて、改めて早稲田大学を受験。早大演劇研究会に入部して、演劇への造詣を深めた。大学卒業後は広告代理店に勤務しながら、演劇研究会で一緒だった高泉淳子らとともに、1983年、劇団“遊◎機械/全自動シアター”を結成。旗揚げ公演『忘れ標識、誰が僕』を上演する。以後、役者を兼ねる作・演出家として、家族をテーマとする喜劇・音楽劇を多く創作。特に第5回公演の『僕の時間の深呼吸・ぼくは夜中に台所でこっそり懐中時計を呑みこんだ』86が好評を博し、一躍注目を浴びる。同世代の劇作家・三谷幸喜との交流から、その後は俳優として映像ジャンルにも進出し、三谷脚本のフジテレビ『王様のレストラン』95で演じたソムリエの大庭金四郎役でお茶の間に広く知られるようになる。劇団では演出だけでなく出演もしていた白井だったが、自分の芝居を映像で見た時にはかなり落ち込んだという。しかし、本人の思いとは裏腹に俳優としての評価は高まり、以降も三谷作品などを中心に多くの映画、ドラマに出演することになる。96年の井坂聡監督「[Focus]」の盗撮マニアを取材するテレビディレクター役で映画初出演。一癖ある難役を巧みに演じられる存在として、その後も井坂監督「破線のマリス」00、「象の背中」07、三谷監督「みんなのいえ」01などで貴重なポジションを確立している。テレビドラマも、フジテレビ『正義は勝つ』95、『WITH LOVE』『世界で一番パパが好き』98、『HR』02、NHK『毛利元就』97、『新選組!』04、『篤姫』08、テレビ朝日『ゴンゾウ・伝説の刑事』08など多数。舞台でも高い水準の仕事を続け、2001年の『ムーン・パレス』、02年の『ピッチフォーク・ディズニー』で読売演劇大賞の優秀演出家賞を連続受賞している。『クラブ・オブ・アリス』02を最後に“遊◎機械/全自動シアター”は解散するが、その後も精力的に舞台活動に励み、演出家としての実力・声望を高める。10年、堀北真希主演の舞台『ジャンヌ・ダルク』を演出。繊細な人間描写とスペクタクルなアクションを見事に融合させて、その手腕の高さを見せた。