大阪府大阪市の生まれ。弓削商船高専を中退後、俳優を志して上京。エキストラ程度の役しかもらえぬ不遇の期間を過ごし、1995年の新村良二監督「ヤンキー烈風隊」の不良少年役で、初めて本名の“北村康”名義でクレジットされる。96年、サトウトシキ監督「LUNATIC」で、母親に去勢された青年のやるせなさを繊細に演じて頭角を現し、翌97年は、初老のヒットマンに尽くすゲイバーのママを妙演した「鬼火」で望月六郎監督と出会い、さらに同年の「岸和田少年愚連隊・血煙り純情篇」で出会った三池崇史監督により芸名を“北村一輝”と命名されて、飛躍するきっかけを掴む。99年、裏社会をさすらう中国人とのハーフ役で刹那的な青春を痛切に体現した三池監督「日本黒社会/LEY LINES」と、抑制できぬ凶暴性にナイーヴさを秘めた主人公の義弟を全身全霊で演じた望月監督「皆月」で、キネマ旬報賞新人男優賞を受賞。以後も、望月監督とは「弱虫(チンピラ)」00、「濡れた赫い糸」05、三池監督とは「許されざる者」03、「龍が如く・劇場版」07など要所で組み、その多面性が存分に引き出されていく。映画に基盤を置きつつ、テレビドラマにも積極的に出演し、時宗に献身的なまでに尽くす平頼綱役が光ったNHK『北条時宗』01、主人公夫婦を恐怖へ陥れる隣人を怪演したフジテレビ『あなたの隣に誰かいる』03などで新たなファンを獲得。端整なマスクを逆手にとり、リスクを厭わぬ作品群で毒や色気を放ち続ける。ドラマはほかに、フジテレビ『水曜日の情事』01、『医龍/Team Medical Dragon』06・07、『ガリレオ』07、『逃亡弁護士』10、TBS『夜王』06、日本テレビ『バンビ~ノ!』07、『ホカベン』08、『妖怪人間ベム』11、NHK『天地人』09、テレビ朝日『宿命・1969-2010/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』10など。『恋の骨折り損』07、『黴菌』10など舞台でも活躍している。