神奈川県の生まれ。本名の“青木秋美”の名で子役から活動を始め、NHK『ある時は妻』89、フジテレビ『炎の旅路』90、『素晴らしきかな人生』93、テレビ朝日『鳥人戦隊ジェットマン』91などのテレビドラマに出演。1991年の「花のズッコケ児童会長」で映画デビューも飾る。中島丈博監督「おこげ」92、相米慎二監督「お引越し」93などを経て、94年、テレビ朝日『嫁の出る幕』にレギュラー出演した時から芸名を“遠野凪子”と改名する。NHK大河ドラマ『八代将軍・吉宗』95、TBS『未成年』95などに出演したのち、99年のNHK連続テレビ小説『すずらん』のヒロイン・常盤萌役に抜擢。さらに、熊井啓監督が松本サリン事件の真実に迫った「日本の黒い夏[冤罪]」01で、事件のドキュメンタリーを作るために関係者に取材していく女子学生役で助演し、注目を浴びる。続いて熊井監督が黒澤明の遺稿脚本を元に、山本周五郎の小説を映画化した時代劇「海は見ていた」02に、ヒロインの岡場所の遊女・お新役で主演。本当に男に惚れてはいけないと知りながらも、真っ直ぐに自分の純情を傾けていく一途な遊女を、ヌードも辞さずに体当たりで演じ、熊井監督の期待に応えた。しかし、その後はテレビ時代劇のゲスト出演などはあったが、もうひとつ役に恵まれない時期が続く。その情況が変わったのは2005年、東海テレビ制作によるフジテレビの昼帯ドラマ『冬の輪舞』で、ヒロイン・水島しのぶ役に抜擢されてから。強烈なキャラクターと劇的な展開で話題を集めてきた東海テレビ制作の昼ドラの中でも、『真珠夫人』や『牡丹と薔薇』といった話題作を凌ぐ高視聴率を獲得し、新たな昼ドラの顔として注目を集めた。07年にはやはり東海テレビ=フジテレビの『麗わしき鬼』でもヒロイン・南崎悠子を演じている。これらの昼ドラで演じたキャラクターのインパクトが強かったためか、その後は2時間サスペンスなどでの悪女役が増え、かつての熊井作品で見られた一途でひたむきな女性としての魅力が鳴りを潜めているのは寂しい。映画ではほかに、近藤明男監督「ふみ子の海」07で演じた気丈な芸者役が印象的だった。舞台は『あかさたな』01、『細雪』03、『孤愁の岸』04、『花かんざし』05、『山村美紗サスペンス/京都花灯路・恋の輝き』10などに出演。10年5月から芸名を“遠野なぎこ”に改めた。