神奈川県秦野市の生まれ。モデルの仕事などを経て、1999年に本名の“菊地百合子”名義で女優デビュー。新藤兼人監督の「生きたい」99、「三文役者」00や、テレビ朝日のドラマ『可愛いだけじゃダメかしら?』99などに出演する。2001年、ロッテルダム映画祭などで賞賛された熊切和嘉監督「空の穴」で、恋人に捨てられた女性の弱さとしたたかさを巧みに表現。04年5月より“菊地凛子”と改名し、06年には木村拓哉と共演したパソコンのCMなどで徐々にお茶の間の認知を得る。同年、半年以上にわたるオーディションの末、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バベル」に大抜擢。聾唖の日本人女子高生・綿谷千恵子に扮した菊地の熱演は、日本人女優としては57年のナンシー梅木(「サヨナラ」)以来となる米アカデミー賞助演女優賞ノミネートの快挙を成し遂げた。ナショナル・ボード・オブ・レビュー新人女優賞なども受賞し、一躍国際女優の仲間入りを果たす。以後はニューヨークにも活動の拠点を置き、自ら国内外のオーディションにも積極的に挑むなど活躍が続く。ライアン・ジョンソン監督「ブラザーズ・ブルーム」08では女詐欺師に扮し、設定上3つの言葉しか知らないという制約つきではあったが、完全英語の演技を初披露。国内での活動も充実し、三木聡監督「図鑑に載ってない虫」07では自殺願望をもった元SM嬢を絶妙の間で演じる。押井守監督「スカイ・クロラ」08では声優としてヒロイン役に挑戦した。09年、チェリン・グラック監督「サイドウェイズ」ではアメリカで生まれ育ち日本語が苦手な日本人女性、スペインの女流監督イザベル・コイシェと組んだ「ナイト・トーキョー・デイ」では暗殺すべきターゲットと恋に落ちてしまう女殺し屋など、多彩な役柄を演じる。10年には村上春樹のベストセラーをトラン・アン・ユン監督が映画化した「ノルウェイの森」に出演。松山ケンイチ演じるワタナベの自殺した親友の恋人役をニュアンス豊かに演じている。