兵庫県神戸市の生まれ。本名・内田雄也。エルヴィス・プレスリーなどのロックンロールに衝撃を受けて高校を中退、ジャズ喫茶で歌い始める。1959年に上京し渡辺プロに所属するが、歌謡曲への転身は拒否。創業者の渡辺晋に映画を勧められ、恩地日出夫監督「素晴らしい悪女」63に出演する。沢田研二らの“ザ・タイガース”を発掘し、自らもバンド“フラワーズ”を率いるなど日本ロック史の開拓者だった時期も、数本の映画に顔を出した。73年、樹木希林(当時の芸名は悠木千帆)と結婚。その後、曽根中生監督「不連続殺人事件」77の傍若無人な芸術家の役で本格的に俳優業に挑戦し、映画出演が増える。神代辰巳監督「嗚呼!おんなたち猥歌」81では初めて内容から関わり、中年ロッカーの無頼を体現、絶賛される。映画は“ロックンロール=人生”を表現できるアートだと掴み、企画・主演した若松孝二監督「水のないプール」82、崔洋一監督「十階のモスキート」83の2作で、反逆精神を映像に強烈に焼きつける。企画・共同脚本・主演の滝田洋二郎監督「コミック雑誌なんかいらない!」86では、芸能レポーター・キナメリが実際の事件や世相に迫る虚実皮膜の内容が反響を呼び、キネマ旬報賞主演男優賞など多くの賞を獲得した。91年の東京都知事選に出馬した自身の姿を取り込んだ宇崎竜童監督「魚からダイオキシン!!」92と、若松孝二監督「エロティックな関係」92の2本で再び企画・脚本・主演。音楽と映画を横断して多くの才能を引き上げてきた功績と影響は極めて大きく、大麻所持、銃刀法違反などたびたびトラブルを起こしてもその都度蘇った、転がり続ける生涯ロックンローラー。樹木とは、新婚当初の2年間以外は長く別居状態にあるが離婚はせず、内田の不倫騒動が発覚しても樹木が陰で支える奇妙な夫唱婦随の関係が続く。95年、「魚からダイオキシン!!」で共演した本木雅弘が長女・也哉子と結婚。2019年3月17日、肺炎のため東京都内の病院で逝去。享年79歳。