福岡県の生まれ。本名・緒方義博。渥美清に憧れ、県立八幡中央高校を卒業後に弟子を目指して上京するも、あえなくUターン。23歳で再上京し、百貨店の丸井に就職する。しかし役者への夢を捨てきれず、退職して劇団ひまわりに入団。役者修業と並行してさまざまな職業につき、1980年、日本テレビのオーディション番組『お笑いスター誕生』に“田所完一”の芸名でピン芸人として出演する。「よう、みんな~、ハッピーかい?」などの決め台詞で人気を集め、決勝大会から芸名を“でんでん”に改めた。翌81年に森田芳光監督「の・ようなもの」81で、主人公の兄弟子である二ツ目の落語家・志ん水を飄々と演じ、俳優デビュー。その後はバラエティ番組などを中心に活躍するが、85年頃から俳優業にシフトし、フジテレビ『間違いだらけの女磨き』87、NHK『君の名は』91、テレビ朝日『プリズンホテル』99などのテレビドラマや、水谷龍二演出の舞台『ある晴れた日の自衛隊』シリーズ94~99に出演する。映画では、パチンコ業界の裏側を描く「ゴト師株式会社」93~95の情報屋、黒沢清監督「CURE」97の同僚を背後から撃ち殺す警察官など、短い出番ながらも印象を残す役を多く演じる。近年は出演作が急増し、原田眞人監督「クライマーズ・ハイ」08の新聞社の整理部長、黒沢監督「トウキョウソナタ」08の妻にリストラを隠して清掃員になる男、李相日監督「悪人」10のタクシー運転手など、善良さと悲しみをにじませる脇役として多く起用される。2011年の園子温監督「冷たい熱帯魚」では、役者生活30年目にして初の大役に抜擢。金のために殺人を繰り返す大型熱帯魚店の経営者を、男の色香と狂気を強烈に放って好演し、報知映画賞の助演男優賞を受賞した。ドラマはかに、テレビ東京『モテキ』10、フジテレビ『ジェネラル・ルージュの凱旋』10、『それでも、生きてゆく』11、NHK『テンペスト』11など多数。