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鑑賞日 2025/01/05  登録日 2025/01/05  評点 68点 

鑑賞方法 映画館/宮城県/フォーラム仙台 
3D/字幕 -/字幕
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ユダヤ法は絶対なんだろうか

 2024年のアメリカ映画。ニューヨーク郊外のユダヤ教会が舞台。事故で作家だった妻を失った40歳のベンは、教会の先唱者だったがショックで歌えなくなっていた。キリスト教会に行き神父に信仰の相談をしたりかなり混乱していた。バーで一人飲んでいた時に聞こえた声が自分を馬鹿にしているものに聞こえてしまい、近くのカップルに絡んだところ殴り倒されてしまう。そんなベンを助け起こしたのは70歳の元音楽教師でベンが小学時代の恩師だったカーラだった。カーラはユダヤ人の血が流れていたが、両親が共産主義者だったため伝道所への出入りを断られバット・ミツバを受けられなかったことや無宗教の夫が死んで自由になったことなどから、バット・ミツバを希望してベンの伝道所へやって来る。ラビの後押しもありバット・ミツバの準備をすることになりカーラとベンの距離が縮まっていく。ベンの母とそのパートナーは、ベンの妻が死んでベンの精神状態がおかしくなっていることから別の女性と交際するよう仕向けていた。ラビの娘ギャビンも何らかの失意を抱え帰って来ていて、二人をくっつけようと仕向ける家族。一方のカーラの息子は、カーラとベンの関係を疑い、カーラのバット・ミツバに反対する。脳卒中で倒れたカーラは、通常なら1年ぐらい準備期間を設けるバット・ミツバを早急に行いたいと希望し、ラビも了承する。バット・ミツバの前日ベンの家でラビの家族も招いてのディナーにベンはカーラを招待する。そこでカーラへの愛を告げるが、家族やギャビンたちはベンの精神状態が不安定だと決めつけ、気まずい雰囲気になったテーブルからカーラは帰宅する。カーラを追いかけたベンは途中で躓いて転倒し気を失う。気が付くとカーラのベッドだった。朝になり山の中で二人だけのバット・ミツバの儀式をするのだった。
 ユダヤ教の教義は時代によって解釈を変えていくのでしょう。かつてタブーとされた同性婚が認められていました。一方で食事に関してはタブーが多く、こちらは今でも守られている。肉と乳製品を一緒にとってはいけないのでチーズインハンバーグは食べてはいけない食べ物。ベンはそれを厳格に守っていたのに、カーラの見舞いに持っていったときには食べていたのは、ユダヤ教的にはアウトなんでしょうね。食事の厳格さはなぜいまだに頑なに守られているんだろう。宗教を扱う作品を観ると、どうしてもそういった信者に対する制限について考えてしまう。映画自体は全体的にはコメディだけど、ベンのみならずカーラも精神を病んでいるよう見えてしまった。近親者の喪失による精神的なダメージは傍から見ればコメディだけど、当人は辛いかも。ただそれも本物の精神障害と違って、何かのきっかけで前に進めるようになるという意味では、この作品もハッピーエンドなんでしょうね。しかしあの後ベンとカーラはあのユダヤコミュニティのなかでどのように扱われていくんだろう。ちょっと心配になりました。女子成人の儀式バット・ミツバが、改宗の際のキリスト教でいう洗礼のようなものとしても機能しているということを知っただけでもまあ収穫ですかね。