男性      女性

※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。

NEWS

KINENOTE公式Twitter

鑑賞日 2025/01/17  登録日 2025/01/23  評点 75点 

鑑賞方法 映画館/宮城県/TOHOシネマズ仙台 
3D/字幕 -/-
いいね!レビューランキング -位

宮城県映画、もてなしハラスメント受けてみたい

 2024年の日本映画。楡周平の同名小説の映画化作品。新型コロナパンデミックの頃、三陸の漁村では後継者不足などによる空き家物件増加対策に取り組む責任者として町役場職員の関野百香が指名される。百香は自身の抱える空き家を担当者として何とかしようと物件情報サイトに6万円の家賃でアップする。すると早々に東京の西尾晋作から物件が見たいとアクセスがあった。しかしそこはかつて百香が夫と子供とで住む予定でいた家で、サイトにアップした後やはりやめようかとも思っていた。しかし西尾の素早い対応に押され、お試し入居となるが、まだその町ではコロナ患者が出ていないため、都会からきた西尾はその家で2週間の自宅隔離となる。それでも釣り好きの西尾はひと気のないのを見計らって釣りに出かけたりし、隣家の茂子婆さんと仲良くなったり、居酒屋のケンさんの店に釣った魚を持っていき焼酎のボトルを入れたりしていた。空き家だった百香の家に灯がともっていることから憶測が流れたりもしたが、2週間の隔離期間を過ぎ、百香と一緒に暮らしている章男の船で釣りに行ったり、ケンの店でモモちゃんの幸せを祈る会の面々と酒を飲んだりしていたが、茂子らから百香は章男の息子と結婚し保育園の息子もいたが、震災の日風邪で寝込んでいて、代わりに迎えに行った義母と息子は津波に飲まれ夫も亡くしたこと、章男は義父であること、今西尾が住んでいる家は百香たちが住むために立てた家で引っ越す寸前だったことを知らされるのだった。茂子がパチンコ中に急死しその葬儀が行われたとき西尾の会社の社長も訪れ、空き家対策事業に興味を示し、役場と協力することになりその責任者として西尾が指名される。茂子の家を息子の依頼も取り付けリフォームして貸し出したり順調に進んでいった。西尾の住む家の1年の賃貸契約期間が近付く中、会社のチームと町役場のチームなどでの芋煮会が行われたとき、勢いから百香への好意を口にしてしまう西尾に怒り出す百香だった。やがて西尾は本社に戻り各地の空き家対策ビジネスを率いるようになる。コロナは落ち着き5類となる。モモちゃんの幸せを祈る会の一人が新町長となり百香が司会しているとき、物件情報に載せた百香の家へ食いつく西尾のメールが続くのだった。そしてその後章男が西尾を養子にし、百香と三人で暮らし始めるのだった。
 気仙沼周辺でのロケ、クドカンの脚本に中村雅俊の出演とくれば監督は山形出身だけど宮城県映画と言ってもいいのではないか。中村雅俊の宮城弁は聞いていて自然でした。そういえばコロナ患者がまだ出ていなかった地域では首都圏からやってきた人を排除したり首都圏から帰って来た人を自宅隔離していた時期があったなあ。まあいくら小さな漁村とはいえ物々交換で成り立つことは実際にはないと思うけど、何かをもらったからお返しに何かをあげるとか、困っている人がいれば(例えば奥さんが病気で入院した旦那に)食事を届けたりすることは普通でしたね。異様に近所のことに首をつっこんでくる人もいそうだし、自分なりに思い込んでしまう役場の職員の持田のような人もまあいますね。そこそこ笑いがあって人情ドラマになるクドカンの脚本は面白かった。原作と違い西尾は百香と結婚するのではなく章男の養子になるという結末もひねりがきいてて面白かった。全く血のつながりのない家族なのに地方の漁村で当たり前のように受け入れられる関係って不思議で愛おしい。