希望が見えない

　何の解決策も示さないし明るい明日も見えないひどい映画でした。なぜノラの父親は外の仕事をせず家事をしているのか。なぜいじめを発見し、加害者に謝罪させ、仲直りさせた学校はその後のアベルたちを観察しないのか。アベルをいじめていた子たちはどうなったんだろう。アベルの権利が回復されなかったのはどうしてなのか。広い校庭で沢山の生徒がいる休み時間になぜ監視員が一人なんだろう。ベルギーの教育事情は分からんが、いじめが社会問題として認識されているなら、それなりの対応があっただろうけどそういった描写が一切なかった。目線は子供なのに、子供の心理を追いかけない冷静な視点は、ちょっと気持ちが悪かった。この作品で監督はいったい何を描きたかったんだろう。

あらすじ：ノラが父親に連れられ小学校へ入学。兄のアベルに休み時間に会えるよと言われ何とか教室へ。休み時間に会う約束だった兄を探すと、兄は誰かに呼ばれていて、近づくなと言われる。それでも兄を追いかけていくと大きな図体の男子に捕まってしまう。アベルが妹だから離してくれと頼んでもきかなかったため、アベルがぶつかっていきノラを開放する。しかしそのためアベルが捕まったようだった。下校時、迎えに来た父親に顔に痣を作ったアベルはサッカーでぶつかったが2点取ったと言い、ノラには何も言うなと口止めするのだった。ノラは教室で友達もできたが、アベルがいじめられている現場を見る。それでも助けに入ったり父親に言えば状況はさらに悪くなるといってノラに口止めする。しかし食堂で失禁させられたり、休み時間ゴミ箱に閉じ込められたりで先生もいじめに気付き、いじめた側に謝罪させ仲直りをさせる。そのことでアベルは誰にも相手にされなくなる。さらにその妹ということでノラもクラスの女子のひとりからハブられるようになる。それでもノラを気遣う友達もいた。そしてノラは今度はアベルが別の友人をいじめているのを見かけた。休み時間にその子をいじめているのをみつけたノラはアベルに駆け寄り引き離そうとするが、アベルはこうしないとまた自分がいじめられると言って手を緩めない。それでもノラはアベルをひきはなし二人抱き合うのだった。