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鑑賞日 2025/03/04  登録日 2025/03/24  評点 85点 

鑑賞方法 映画館/愛知県/伏見ミリオン座 
3D/字幕 -/-
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ボブ・ディランの若き日々。

❶相性:上。
❷時代:
1961/2(ボブ・ディラン19歳)~1965/7(ボブ・ディラン24歳)。
❸舞台:ニューヨーク、ニュージャージー、ニューポート。
❹主な登場人物
①ボブ・ディラン〔実在:1941-〕(ティモシー・シャラメ、28歳):主人公。アメリカの史上最高のシンガーソングライター。2016年に歌手として史上初めてノーベル文学賞を受賞。描かれるのは19歳から24歳までの5年間。
②ピート・シーガー〔実在:1919-2014〕(エドワード・ノートン、54歳):フォークシンガー。「ニューポート・フォーク・フェスティバル」の創設者・主催者(共同)。無名だったボブ・ディランの才能を見抜き、彼がミュージシャンとして成功するための道を示した。
③シルヴィ・ルッソ〔架空〕(エル・ファニング、25歳):社会活動に取り組む音楽好きの女性。ボブと恋に落ち同棲する。
④ジョーン・バエズ〔実在:1941-〕(モニカ・バルバロ、33歳):シンガーソングライター。フォーク界に多大な足跡を残した女性音楽アーティストの第一人者。ボブとは音楽コラボレーションを通じて不倫関係に発展する時期があった。
⑤トシ・シーガー〔実在:1922-2013〕(初音映莉子、41歳):ピートの妻。米国人の母と日本人の父とのハーフ。音楽学者、ドキュメンタリー映画監督、製作者、社会運動家。「ニューポート・フォーク・フェスティバル」の設立にも関わり、理事を務めた。ボブのミュージシャンとしての変化をピートに連れ添って見つめていく。
⑥ジョニー・キャッシュ〔実在:1932-2003〕(ボイド・ホルブルック、42歳):シンガーソングライター、俳優、、カントリー、ロック、ロカビリー歌手、作曲家。カントリーのアイコンとして知られる。
★20年前、ナッシュビルの町を観光してバーでカントリーを楽しんだことが思い出された。
⑦ウディ・ガスリー〔実在:1912-1967〕(スクート・マクネイリー、46歳):フォーク歌手、作詞・作曲家。社会主義者で労働組合活動家。1940年に発表した「我が祖国」は、最も有名なフォークソングの一つ。
⑧デイヴ・ヴァン・ロンク〔実在:1936-2002〕(ジョー・ティペット、41歳):ニューヨークでに出てきたボブが最初に入った店で、偶然出会った歌手。ボブはデイヴからウディ・ガスリーが入院していることを聞き、見舞いに行った病院で、ウディの見舞いに来ていたピート・シーガーと出会う。
⑨アルバート・グロスマン〔実在:1926-1986〕(ダン・フォグラー、47歳):起業家、音楽マネージャー。ボブ・ディラン、PP&M等の人気歌手のマネージャーを務めた。
⑩トム・ウィルソン〔実在:1931-1978〕(エリック・べリイマン、34歳):音楽プロデューサー。ボブ・ディランのアルバムのプロデューサーを務めた。
❺要旨
①1961年冬。19歳で無名のボブ・ディランは、故郷のミネソタ大学を中退し、ニューヨークに移り住む。持ち物は愛用のギターと僅かばかりの所持金。
②ボブは、尊敬するウディ・ガスリーが重病で入院していることを聞いて、見舞いに行く。そこにはウディの親友のピート・シーガーが見舞いに来ていた。ボブは、ウディとピートの前で、ウディの為に作曲した曲を披露する。
③ボブの才能を見抜いたピートは、ボブを自宅に招待する。ピートと妻のトシは、行くあてのないボブを自宅に住まわせ、フォークシンガーたちに紹介していく。
④ピートに連れられて行ったクラブで、ジョーン・バエズのショーが行われていて、ピートは友人のジョーンにボブを紹介し、ボブは同じステージで歌うことになる。ギターにハーモニカを交えて歌うボブは拍手で受け入れられる。その場に、ジョーンのマネージャーのアルバート・グロスマンもいて、ボブを気に入り、アルバムを作るが、売れ行きは良くなかった。
⑤ボブが教会で演奏した時、会場に来ていたシルヴィ・ルッソと出会い、恋に落ち、シルヴィの家で同棲する。
⑥シルヴィが長期間のヨーロッパ旅行に出かける。シルヴィの不在中、ボブは、社会メッセージを込めたオリジナル曲で支持を集め、スターダムを駆け上がっていく。
⑦音楽コラボレーションだけだったボブとジョーン関係が、不倫関係に発展し、シルヴィはボブと別れることとなる。
⑧スターとなったボブだが、周囲からの期待と、本来の自分との軋轢に葛藤が強まる。ジョーンとの待望のツアーも悲惨な結果に終わる。
⑨自由を求めるボブは、エレキギターやロックの要素を取り入れはじめる。
⑩ボブは自身のロックバンドを結成しレコーディングする。
⑪1965年7月のニューポート・フォーク・フェスティバル。ピートの働きでトリを務めることになったボブは、ジョーンとのデュエットの後、期待に反してエレキのロックをやり、大ブーイングを浴びる。主催者からアンコールでフォークをやるよう要請され、一旦は断るが、ジョニー・キャッシュがアコースティック・ギターを渡したので、1曲だけ歌って退場する。
⑫バイクで一人寂しく帰るボブにジョーンが言う:「貴方が勝った!」
ボブ:「何に買ったんだ?」
ジョーン:「望んでいた自由を手に入れたのよ?」
⑬最後にボブは、病院のウディ・ガスリーを訪ねて、別れの歌を歌った後、バイクでどこかへ去っていく・・・・
★映画一巻の終わりでございます。お楽しみ様でした(笑)。
❻まとめ
①ウディ・ガスリーやピート・シーガーが活躍した1950年代後半から1960年代前半のアメリカンフォークは、激動するアメリカの政治運動と結びつき、政治や社会を批判するツールになっていた。
②そこに登場したボブ・ディランのアコースティックからエレキへの転換は、当時のフォーク界に大きな激震をもたらした。革新側だったフォーク界が、それよりも革新的なボブによって、保守側に立たされてしまったのだ。本作のクライマックスである1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルは両者の戦場となったのである。両者を代表するピート・シーガーとボブ・ディランの激突が興味深い。
★私個人としては、伝統的なフォークの方が肌に合っていて好きである。
③これを機にボブは独自の道を歩み始めたのだった。やがてそれは、歌手として史上初めてノーベル文学賞へと繋がっていく。
④本作では主人公のボブ・ディランはじめ、ウディ・ガスリー、ピート・シーガー、ジョーン・バエズ、ジョニー・キャッシュといったフォークやカントリーでお馴染の実在の歌手たちが沢山登場するので、興味深々で、親しみが持てた。
⑤ボブ・デュランを演じた主役のティモシー・シャラメは、準備に5年の歳月をかけ全歌唱シーンで自身の歌声を披露しているとのことで、その見事な出来栄えに感動した。
⑥ジョーン・バエズを演じたモニカ・バルバロも吹替なしで素晴らしい。