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マルサの女
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冒頭からおっぱいが出てくる。この映画は極めてヌードシーンが多く、ラブホテルや特殊関係人(愛人)など、いわゆる風俗についての扱いがリアル。人間の根底にある抗えない愚かさを描く傑作だ。山崎努さん演じる権藤さん(奇しくも「天国と地獄」で山崎さんが脅迫した人物の名前)が、”コップの水”について語るシーンがいい。のどが渇いても水を飲んではならない。あふれる水を飲むのが金持ちになる方法だと言う。このあと隠し部屋が明らかとなるが・・・。 少し前映画館で鑑賞したリマスタリングされた「スーパーの女」でも思ったことだが、伊丹監督作品は影の使い方が素晴らしい。宮本信子さん演じる板倉涼子のサングラス、そして表情を真っ暗にする影を落とすシーンなど、人物にかかる影の表現が見事。見る側を不安に陥れるような表現。 俳優陣も豪華だ。税務署で大滝秀治さん、国税で小林桂樹さんを上司にし主人公を支ている。中でも銀行員を演じる高橋長英さんの首を振るシーンはリアルだ。緊張のあまり首をぶるぶる震わせる演技は忘れがたい。暴力団組長の芦田伸介さんも迫力満点。 このドラマは申し分ないが、いつの時代も脱税する人物の先にいる巨悪まで表現することは困難だ。「悪い奴ほどよく眠る」でもそうだったように、本当の巨悪はここに出てこない。小林桂樹さんが圧力を跳ね返すシーンがギリギリだろう。たくさん出てくるおっぱいも含めて、ギリギリを表現した傑作とも言える。 まだ携帯電話もインターネットもない時代の映画。
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