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きっと、うまくいく
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映画って本当にいいな、と思いました。土曜日の映画館。満席ではないければ、大勢のお客さんが集まって、この3時間近い映画をみんなで鑑賞して、泣き笑い感動している。そんな雰囲気が映画館の中に蔓延していて、映画が終わって小さな拍手が起きました。ああ、映画っていいですね。すばらしい体験です。こんな体験をできる映画に接することができてこれほど気持ちのいい思いをしたのはいつ依頼でしょう。 かといって映画そのものにまったく新しさはない。何の変哲もない普通の映画です。どこを切ってもありきたり。予定調和な映画なわけです。新しいと思えたことというと、インドという国、カースト制度が残ると言われる国の上流階級がこれほど裕福で、しかも熾烈な競争社会を組み立てていることに驚きを感じました。かつて見たインド映画というと、お定まりのダンスがあって、目を覆いたくなるようなわざとらしい感情表現があって、最後に歌って踊って終わるというパターン映画。パターナリズムとでもいいましょうか、これはサイレント時代の日本映画であり、ハリウッドの初期にも同様のパターンがありました。寅さんとか釣りバカみたいな世界。それがインド映画の主流なのかなーと思っていたんですけど、「スラムドッグ・ミリオネア」で変化を感じましたが、あれはほとんどアメリカ映画。いや本作もほとんどアメリカ映画っぽい作品といえるかもしれませんね。だから感動できたんでしょうか? 前半の不思議なお笑いの世界は、学生時代を過ごした3バカのお話で、これはこれで面白いですね。戦後の日本映画のノリです。実は小津安二郎監督の初期作品に似たような映画があるんですね。先生と生徒の戦いです。これは規模はともかく、どんな時代でもあるお話。でもこの映画を見てゆくと、インド社会の抱える知られざる世界がどんどん見えてきます。自殺者の増加、過激な競争社会。自由度を失った世界。これ、日本も同じでしょ。日本の場合は安保の頃から時代が変わりましたね。インドはどうなんでしょう? 後半は主人公のランチョーを中心に奇跡のようなドラマが展開しますね。「Aal Izz Well」(=All is well.)という前向きな言葉が常に映画を包みます。貧しい生まれのラジュー。親の言いなりになって大学に通うファルファーン。そして学長の娘ピアとの恋愛。この仕掛けはどこにでもあります。珍しくもない。ですが、どのシーンも美しいんですね。見事に。だから先が読める展開でもついつい涙を誘います。 この3時間近い映画をノンストップで飽きずに見ることができる幸せをありがたいと思いますね。 すばらしい映画でした。 今われわれはこういうダイナミズムを日本映画に見出すことができずにもがいています。 これより少し前に見た「セデック・バレ」やこの映画のような資本は日本にはもうない。 それでも日本映画はたくさん作られます。 インド映画がそういう日本人の映画に対するストレスを解消させてくれるなんてすごいことだと思いますね。
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