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ボサノヴァ~撃たれたピアニスト
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テノーリオ・ジュニオルというピアニストについて、私は何も知りませんでした。 音楽の映画を見るのは大好きだし、ボサノヴァやジャズは好きな音楽なので、こういう映画がアニメーションになっているのは珍しいな、と思いながら観に行きました。 アニメーションの形式をとってはいますが、内容はドキュメンタリーと言っても良い内容でした。 ボサノヴァの歴史を調べようとしていたアメリカのジャーナリストが、いろいろ調べていくうちにふと耳にしたレコードで、テノーリオの存在を知ります。 そして、彼が1枚リーダーアルバムを出していること、1970年代中頃がら一切の消息がわからなくなっていることを知るのです。 1960年代、ボサノヴァという音楽ジャンルの黎明期に活躍したテノーリオの生涯を、アメリカ人ジャーナリストが調査を進めていく過程で、1960年代から70年代にかけての南米各国の軍事政権の状況、反共という名目で軍事政権を陰で支えてきたアメリカの存在をもあぶり出していく作品でした。 何の罪もないテノーリオは世界の激動の時代の流れに不運にも巻き込まれてしまったのでした。 この作品の見どころとして、著名なミュージシャンたちのインタビュー音声や、彼と関わりのあったミュージシャンが登場することです。 ジョアン・ジルベルト、ミルトン・ナシメント、ジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローゾ、バド・シャンク、トッキーニョetc… アニメーションで描かれているので、故人についてもフィクションを交えて違和感なく映像化されていました。 テノーリオの姿は彼が大好きだったというビル・エヴァンスにそっくりに描かれていました。 こういうドキュメンタリーアニメーションというような形式の映画は初めてでしたが、アニメーションが美しく、人物描写もラフなようでいて特徴をうまく捉えていて秀逸でした。 監督は2人共、スペイン人のようですね。 スペインの人がボサノヴァを題材にした映画をアニメで制作する、というのはなかなか面白い組み合わせだと思いました。
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