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麻雀放浪記
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映画マニアでもあるイラストレーターの和田誠の初監督作品。彼は映画に関する著作がたくさんあり、その豊富な知識に裏打ちした文章はいつも唸らさせた。だからと言って実作はどうなんだろうと不安視もある。名選手は必ずしも名監督にあらず。映画に詳しいからって評論家が監督できるわけでない。豊富な知識だけで創造物を生み出すんであれば、自分にだって映画監督になれる。のだがやる前からできるわけがないというのは分かっている。やる前に駄目だというなという教訓もあるが、頭の悪い自分にはこの辺の才能がないというのは懸命な判断であるなあと思う。 さて観終わって天は二物を与えずということわざは和田誠には通用しないということがよくわかる作品。 モノクロで撮っていると聞いてやっぱり映画マニアであれば自分が監督するのであればそういった通常の作品とは違ったものにしようとしているなと思った。 しかしモノクロの画面は映画の舞台となる時代の雰囲気作りをしたもので、いわゆるアートフィルムのようなわかりにくいものではない。 どの画面にもあいまいなところがなく、明確である描写をしっかりと示してくれる作りはとても良かった。でも仮にアートフィルムにしてもこれは角川映画だし、そうしたら角川春樹が難色を示したかもしれない。 そうでなくても和田誠は映画に関した文章を読む限りでは、妙にこねくりまわして観客を煙に巻くものは作らないだろうなと予想はついてそれはその通りであった。 世間の常識から外れたギャンブラーのピカレスクロマンという話で、何もかも破壊された終戦直後のニッポンでまともに働くことなどできないよというところ。真面目に働けという者には「お前らにできるのは長生きだけだ」というセリフを吐く。 この暗いドロドロした情念がたまらなくいい。 70年代の邦画はどん底の世界であったために、80年代から異業種の人が監督になるということがよく行われた。プロの映画人には腹立たしいことではあっただろうが、新しい血を注いでカンフル剤となることをしなければならなかった。和田誠はそのはしりだったが彼の監督作品が秀作になってはますます悔しいところではなかったかな。 冒頭の焼け野原のミニチュアが「ゴジラ」みたいだなと思っていたら、その「ゴジラ」でアルバイトで特撮スタッフになった成田亨がこの映画の特撮とクレジットされていたのでなるほどなあと思った。成田の仕事で大変な功績があったのは「ウルトラマン」「ウルトラセブン」のヒーローのデザイン、その番組に登場する怪獣のデザインである。一体一体それぞれがとても個性的なデザインでよくもこんなにたくさん考えられたものだと今振り返っても思う。「ウルトラQ」も彼の仕事だ。
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