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HERE 時を越えて
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テレビの情報番組で見かけるものの一つに定点カメラがあるが本作はそれを大胆な発想の元に駆使して有史以前の恐竜の時代から先住民族の繁栄、さらに植民地時代を経て20世紀へと移り変わる一箇所のみを描いた作品だった。日本には絵巻物という言葉があるが本作はそれをバラバラに裁断し、ツギハギにしてCGで体裁を整えていた印象である。 メインはトム・ハンクスとロビン・ライト夫妻の物語。ハンクスの両親や兄弟、親類縁者も登場。自宅での結婚式や葬式、はたまた消防車を呼び出しての出産騒動まであった。生者と死者が一つの家の中で順番に交差と離合を繰り返していた。認知症の療養でフロリダへ行ったハンクスの両親が数年後には父親だけが戻って最晩年を元の家で過ごしていたが、これが出来るのは子や孫がいるからであり少子高齢化が進んでいる先進国では徐々に難しくなるに違いない。 スクリーンの左隅にその時代で使用されていた電話機が置かれていて、自分はそれを見ることで今どの時代なのかが判別できた。他にも大型ラジオが真珠湾攻撃のニュースを伝えていたり、テレビがエド・サリバン・ショーに出演したビートルズの演奏を放送していた。時代色の出し方はオーソドックスなほうが好ましい。 ラストでようやくカメラは自宅の外観を捉えてくれる。同じようなタイプの家並みが沢山並ぶ住宅地という有様は取りも直さず世界中のどこにでも起きていたドラマという普遍性のメッセージで間違いないだろう。齢70を越えてチャレンジ精神を失わないロバート・ゼメキス監督に心からのエールを贈ります。
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