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久しぶりの上海。今の中国では旅行者が映画を見るのも大変。電子決済ができないので現金払いをリクエストするとたいてい断られる。そこからが交渉だが蛇の道はヘビ、現金を渡して店の人に打ち込んでもらえた。タイトルを指定するのも私のさび付いた中国語では一苦労だが、今回は、「まおまおだー!」「Oh!Cat!」。阿吽の呼吸がなんかうれしいぞ!と。 閑話休題。そう、本作の中国語タイトルは「猫猫的(まおまおだー)奇幻漂流」(ニャンコの不思議な漂流)という。かなり素敵だ。もちろん、水に満たされた人間のいない世界を、動物たちが旅する物語にはさまざまな暗喩が含まれているのだが、私は開演数分で、物語の隠された意味を追いかけるのをやめてしまった。だってあまりにもニャンコなのだもの。 森を駆け巡るしなやかな肢体、危機を感じて開閉する瞳孔。そんな野性的な美しさの一方で、警戒しながらも左右に転がるカンカラの動きから目を離せなかったり、できもしない二足歩行を試みてひっくりこけたり。(もうかわいいったらないね!) ほかの動物たちがいささか人間臭いのに対し、ニャンコははてしもなくニャンコだ。魚を取って、それを鳥のもとに運ぶシーンにしても、やるよね猫は、ほめてほしくて。主人や先輩のもとに取った獲物を運ぶのだ。(それがネズミやブラックデビルだと阿鼻叫喚! ) 後半になると、物語は一転、人の現実では計り知れない展開に。ニャンコも超ニャンコ的行動をとるのだが、成長したニャンコの心象風景としてとらえておこう。なぜなら終幕に至るまで、ニャンコはニャンコであり続け、そこに人間の理屈によるメタファーを求めるのは、私はちょっと失礼な気さえしてしまうから。 仲間たちと水たまりを見つめるひとみは語りかけているようだ。「君らがニャニを考えるのも勝手だけど、僕らそんニャニひまではニャインだニャー」
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