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映画 フィッシュマンズ
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この間見たばっかりだけど、また見てみました。というか、この映画を1か月ほど前に見て、その後ライブフィルムを見て、なんかこのグループのことはもっと真剣に聴かなければいけないと思って、ずっとSpotifyで流したりして、さらに川﨑大助氏が書いたぶあつい本を読んだりして、もう一度これを見なければならないと思った次第です。 Spotifyで流してみたら、あまりにも楽曲がすばらしすぎるから。 確かに、キヨシローっぽいなと当時思った。(「スローバラード」とかのね)でも楽曲のジャンルがそもそも全然違う。レゲエとかダブとかって、おしゃれでセンスがよくてちょっと不良で厭世的な人たちが真夜中に踊る音楽、と思っていたけど、彼らの曲は夜中の密室で聴くものじゃないなぁ。青空の下もいいかもしれないけど、とにかく壁のない広いところで、どちらかというと晴れた夜空の下で、蚊に刺されるかなとか思いながら寝そべって聴くような音楽なんだな。 音数の少なさが強烈。じゃがたらの良さがわかった!と思ったときに感じたのと同じ、歌いながら踊りながら朝になってしまって、頭がもう小学生みたいに空っぽで、何もかもが今生まれたみたいに美しく見える、ありえないような感動。に近いものがありました。 楽曲を聞いてるときはそれほど歌詞を聞き取ってなくて、サウンドに浮かんでるような気分だけど、「彼と魚のブルーズ」を読んでると、佐藤伸治の書く歌詞だけじゃなくて、フィッシュマンズに真剣にかかわってた人たちはみんな、ものすごく言葉を大事にしてるなと、びしびしと感じます。話すことばにウソがないように、書くことばにクリシェがないように。わからないことをわかるように取り繕わない。本当に、本当に、音楽に対して真剣な人たちだったし、今もそうなんだなと思います。もしかしたら、佐藤伸治って人に関わることで、周囲の人たちも真剣にならざるを得なくて、こんなに大人になってしまったのかもしれない。 知ってたのに30年もちゃんと聴かないままきてしまったけど、聴くようになってよかった。良い音楽の良さがまだわかってよかった。多分ほかにもゴマンとあるんだろうな。名前くらいしか知らないミュージシャンによる宝石のような名作。そういうものに、あと1つでも2つでも出会えるなら、この先、長生きするかいがあるってもんだな。 改めてこの映画を見直して、彼は、さびしすぎて、絶対、自分が最後の一人になることに耐えられないと思ったんだな、と思う。違うのにね…最後の一人は茂木さんだよ!そしれ彼は人を信じることができる人だから、終わらないフィッシュマンズをちゃんとまじめに、まっすぐ、続けている。脱退したのは佐藤伸治のほうだったのだ。 逆に、彼がきつそうにバンドを続けていたら、こんなにたくさんゲストミュージシャンは来てくれたんだろうか…一度辞めたメンバーが戻って来てくれただろうか、と考えるのはちょっと怖い。でも、誰かが亡くなるといつも思うのは、その人は「死んだ」んじゃなくて、「生きた」んだっていうこと。たぐいまれな音楽を作って、それが今も生きている。人にはそれぞれ限られた時間しかないから、早くいなくなってしまう人もいるけど、50年後、100年後に誰かが振り返ったら、結局、長く生きたかどうかじゃないんだと思う。お葬式で大勢のミュージシャンの演奏を聴きながら、あるいは今もコンサートの片隅で、一番幸せなのは佐藤伸治自身なのかもしれないよね。 そんなことを思いました。
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