男性      女性

※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。

KINENOTE公式Twitter

鑑賞日 2025/04/03  登録日 2025/04/04  評点 70点 

鑑賞方法 映画館/神奈川県/シネマジャック/ベティ 
3D/字幕 -/-
いいね!レビューランキング 273位

これもヘンな日本?

 イザベル・ユペールとアジアという組み合わせではホン・サンスとの仕事が印象に残っている。本作ではメガホンをフランスの女性監督が取っているけどオフビートな笑いのタッチなどどことなくあの韓国映画を思わせるところがあった。
 異国の人が見た不思議な国日本が描かれたエキゾチックムービーふうな内容。最近ケーリー・グラントがやはり日本を舞台にして撮った「歩け!走るな」(66)を見たのだけど、あの映画と同じお辞儀ギャグがあって、外人が見る日本って相変わらず変わってないのだなあとの感慨を新たにする。
 夫を事故で亡くした作家シドニ(ユペール)が日本の出版社に呼ばれ来日、インタビューやサイン会の合間に夫の亡霊と遭遇。最初こそ逃げ回っていたものの次第に寄り添うようになる。その一部始終をコミカルさも交えて淡々とスケッチした小品といった仕上がり。
 彼女に付き添う編集者の名前が溝口ということからシドニに有名な監督の親戚と間違われていたけれど、監督・脚本を担当したエリーズ・ジラールという人は溝口監督のファンで「雨月物語」あたりからインスパイアされてこのシナリオを書いたのかもしれない。
 早足の溝口を慌てて追いかけたり、素っ頓狂な叫び声を上げたりと彼女の一挙手一動作が面白く撮られていてそこが見どころだったか。
 最初こそ亡霊を恐れていたシドニだけど夫の在りし日を懐かしむようにして寄り添うことになる。これが「雨月物語」なら死者の世界に取り憑かれて・・・というなりゆきになるのだけどこちらではせつない別れとなる。夫との決別と新しい出発(溝口との恋?)。
日本の美しい景色も観光映画風に切り取られ、なおかつ自分の懐かしい人にも会える国・・・ますますインバウンドが増えそうな内容の映画でもありした(それはないか)。
 ちなみに当日の劇場にフランス人らしき(あくまで見た目です)3人組の妙齢のご婦人がたが着席、時折クスクスと笑い声が聞こえてきました。