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鑑賞日 2025/03/16  登録日 2025/04/07  評点 75点 

鑑賞方法 選択しない 
3D/字幕 -/-
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素朴という美しさ

 コメディ作家として著名だったレオ・マッケリーがビング・クロスビーを主人公にして撮った人情ドラマ。自分はアカデミー賞7部門を獲得した名画ということで名前だけは聞いていた作品。
 資金繰りにも行き詰まる荒れた教会に赴任してきたオマリー神父(クロスビー)が住民たちとの温かな交流を通して荒んだ住民たちに笑顔と幸せをもたらしていく・・といった人間讃歌ふうなドラマ。
 近所の不良たちを集めて聖歌隊を組織して歌の素晴らしさを教える・・・といった何とも今からすれば気恥ずかしくさえ思える善行の数々が描かれていく。不良たちも実に素直でありとても不良には見えない。嘘くさいと言えば言えるのだけどそれは今の目から見てしまうからかもしれない。
 もちろん喜劇作家として鳴らした監督であるからその作劇に飛躍と強調が目立たないこともなく、それが時に出来すぎた人情ドラマ風に見せてしまうのかもしれないとも思う。でも今では失われたと思しきこの素朴さが却って貴重に感じられもする。
 妙にヒネて荒んだドラマにどっぷり漬かってしまった身からすると、嘘くさいと感じるより前に思わずほっこりしてしまう。あまり感情を表に出さないクロスビーの淡々とした演技もこのドラマに見事にマッチしていたと思う。感情の方はすべて歌の方に託されていた。