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鑑賞日 2025/04/11  登録日 2025/04/24  評点 80点 

鑑賞方法 選択しない 
3D/字幕 -/-
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教授の哀愁

 ヒロインの踊り子ローラを演じたマレーネ・ディートリッヒの出世作として名高い作品だけど、自分はそのローラに魅了され堕ちていく堅物教授を演じたエミール・ヤニングスの方が気になった。何というか男の情けなさ(あるいは醜さ)が肥満した体全体からにじみ出ている感じがして。
 謹厳実直ひと筋な男が運命の女と出会ったことで堕ちていくというファムファタールものの古典のような作品だと思うけど額縁に収まった古典というのではなく生々しさを感じる。それもすべてヤニングスの悩める表情(愛に苦しむ顔)のせいだったような気がして。
 彼は第1回のアカデミー賞(27)で主演男優賞を受賞した人と知って納得した。しかし本作出演以降彼には目立った仕事もなく経歴は萎んでいく。一方対照的にマレーネは本作をきっかけに売り出していく。ドイツの名優ふたりの交錯する運命も映画の中身同様意味深いものを感じる。大学教授が終盤では舞台で道化を演じることになるその落差ある人生にその後の実生活を予感させていた。