こちら、ベトナム映画、監督：クォン・ゴック「The Real Sister（Chi Dau）」のレビューです

YANGON CINEPLEX JUNCTION CITY CINEMA 3。1時間40分。SKYLINE MEDIA＝LIVE ON。シネマスコープ（回想場面はビスタサイズ。一部、モノクロ）ベトナム語発声。ミャンマー語字幕。評価＝75点。

上映前にミャンマーの国旗が映り国歌が流れるが、誰も起立しないので、私も座ったままだ（笑）

・「The Real Sister（Chi Dau）」（2024）
監督：クォン・ゴック Khuong Ngoc、出演：Hong Dao ほか。

ミャンマー人の高校生風カップルが4組、最後列に。とても高校生が観るような作品ではない。しかも、ベトナム映画である。暗闇の中で何かをしていたようだ（笑）

なかなかの秀作である。IMDbでは、[7.4]である。

シリアスなドラマである。撮影・カメラワークはとても良い。俳優出身で4監督作品目のこの監督（出演もしている）の演出・撮影は洗練されている。バストショット中心の人物の切り返し、カット割り、カット繋ぎが巧い。

実家のセットも良い。中空からの俯瞰撮影。仰角撮影。嵐が去った朝のラストは大空からの5人姉妹の大俯瞰である。少ない明かり（一つだけのランプ）での撮影も良い。

5人の演技派女優達の競演である。特に長女役の女優が素晴らしい。

5姉妹の確執と各人のそれぞれの現在の家庭環境・夫婦状態もあぶり出されて、5人が本音をぶつけ合う。長女は髪が抜け初めている。

亡き父母が住んでいた田舎の漁村の家で、亡き長男の妻（継長女）、次女（医師）、三女（金行店主）、四女（今も父母の家に住み、法事の台所仕事をする地味な女）、五女が法事のために集まって来る。次女の大学生の娘も来ている。

大嵐が襲い古い実家は天井や柱が崩れる。少女時代の四姉妹が同じく洪水でベッドの下に隠れておびえるモノクロ映像がオーバラップされる。大嵐が去った翌朝、5姉妹の和解と理解と再生が描かれる。ランプの明かりで手の平を温めた三女が、その手で長女の頬を温める。

ラストは亡くなった長女の葬式（法事？）で改築された実家に集まった四姉妹が、大きく引き伸ばされた「父母の法事での五姉妹の集合写真」の額の前で長女を思い出して泣く。姪（次女の娘）が父母の法事の時に映した動画の中の長女の姿を見て泣く。