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鑑賞日 2014/08/13  登録日 2025/03/20  評点 70点 

鑑賞方法 テレビ/無料放送/BSイレブン 
3D/字幕 -/-
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余部鉄橋、絵になる風景から夢千代日記が開かれる。

「夢千代日記」といえばテレビドラマの秀作で、大きなヒットにもなった。吉永小百合の当たり役である
と同時に脚本家早坂暁の代表作でもある。映画版では浦山桐郎がメガホンを取り、新キャストを加え、
早坂脚本を演出した。テレビシリーズの完結編という形で夢千代の最期を描いている。

絵柄の良さが魅力の夢千代日記。山陰の雪景色のひなびた温泉町、その象徴が余部鉄橋。昭和の
ブラウン管でも伝わる憂愁のショット。映画版ではその鉄橋で事故が起きる。女性の飛び降り事故だ。
夢千代は車窓からその一瞬を目撃する。手を合わせていたことは判った。そばの席にいた男の目撃した。
夢千代は神戸の総合病院で持病の白血病の進行を診てもらった帰りのこと。いよいよ余命のつきようと
している。地元警察は遺体を発見し、列車で同行していた駆け落ち相手の男を逮捕した。殺人の疑いも
あった。夢千代は女性の覚悟の自殺と思った。列車で目撃した男は旅一座の芸人の宗方勝(北大路
欣也)だった。湯村温泉での巡業があったのだ。
夢千代は楽屋で宗方と会い、手を合わせていた目撃証言を確認しようとするが、彼は忘れたと一蹴する。
警察の捜査は同行の男の殺人罪で送検した。なおも夢千代は宗方に目撃証言を求めるが、彼には
秘めた過去があり、夢千代への思慕との板挟みに葛藤する…。

サブストーリーの出来がイマイチ。テレビと映画では芸者たちが大幅に入れ替わり、各エピソードに意気
込んで演じるが、田中好子の恋愛劇は失速、浜村淳の画家は失笑、夢千代の哀切トーンとは微妙に
ずれていく。殺人罪で追われ時効寸前となった宗方の過去は、信州の牧場の親子げんかで、事故レベル。
思うように盛り上がらない。夢千代は広島での母親の胎内被爆での白血病。母親や夢千代のレベルでは、
ピカドン。したがって最期のセリフも「ピカが…」となるが、令和の観客には説明が必要となる時代になって
しまった。亡くなった母が好きなテレビドラマだったので、ヘンな点数はつけられない。