太陽の塔こそパイラ星人の基地なのだろう。

大映の特撮映画というとガメラや大魔神を思い浮かべるが、６０年代の話。本作は１９５６年の公開で、
宇宙人とのファーストコンタクトをテーマにしている。東宝のゴジラは１９５４年のデビューで、いわゆる
怪獣映画というくくり。私も子供時代で詳しくは判らないが、空飛ぶ円盤騒ぎはアメリカからの影響で、
宇宙人の存在が人々の噂話にのぼるようになった。敵対するモンスターばかりの宇宙人ではなく、
１９５１年の「地球の静止する日」のコンタクトを求める宇宙人像に影響されているように思える。
大映の方はカラー映画で、宇宙人の造形には岡本太郎が関わったという。脚本は大物小国英雄の
オリジナルで、大映の意気込みが伝わる。

異星人はパイラ人。ヒトデ型で中央部に青く輝く瞳の眼球がある。当然、地球より遙かに文明が進んで
いる。地球上で核実験が続いていることを認め、平和を呼びかけるために地球に来訪した。しかも地球の
歴史を調べ、被爆国の日本なら話が通じやすいを判断したようだ。ところが異形の姿に、日本人は恐怖
するだけ、話にならない。
美醜の判断は、パイラ人と地球人とは何光年の隔たりがある。ついにパイラ人は地球人に化けて接触
することにした。地球上、とくに東京の劇場で人気の青空ひかるに化けた。彼女は日光で発見される。
川崎敬三らの科学者たちの手によって助けられ、記憶喪失の美女天野銀子と名づけられる。彼女は
山形勲が発見した原水爆以上の破壊力を秘めるウリウム１０１をい危険視する。山形に研究停止を進言。
そしてパイラ星の進んだ科学を証明するために、地球に衝突すると思われる彗星Rの存在を明らかにする。
Rの接近で地球は天変地異に襲われる。パイラ星人の宇宙ステーションは山形のウリウム１０１の研究
から、彗星を破壊するミサイルを開発、ついに彗星爆破に成功する…。

小国英雄にとってSF映画の脚本は初めてだろう。１９５６年公開と考えると、かなり先進的で作品として
もまとまりがある。怪獣映画とは一線を画した異星人とのファーストコンタクトの映画として再評価すべきだ。