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鑑賞日 2025/04/10  登録日 2025/04/10  評点 80点 

鑑賞方法 選択しない 
3D/字幕 -/字幕
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ラスト30分のどんでん返しの連続がシビれる

バチカン共和国の「コンクラーベ」(教皇選挙)を初めて知ったのは、どの教皇が亡くなったときだったか‥‥。

 後継者選びで、何度も何度も投票を繰り返す。ときには数日にも及ぶことがあるとして「根比べ」になる。決まれば、煙が焚かれ、隔離されていた外界に知らされる。

 そんな駄洒落の記憶ばかりで、教皇の名前など全部忘れてしまった。アメリカのアカデミー賞で複数部門でノミネート(結果的に脚色賞を受賞)されており、映画評もよかったので、観たいなーと思っていたのに、なぜか見逃していた。朝日新聞の天声人語でも取り上げられていただけに、悔やんでいたところ‥‥。

 たまた乗った飛行機の機内サービスで観られたのは、ありがたかった。

 さて、中身だが、次の教皇を目指す枢密卿たちはいずれも一癖二癖ある人物だらけ。票の買収や民族間の勢力争い、スキャンダルによる貶めあい‥。

 前の教皇が急死したために、様々な謎が残った中での選挙。選挙期間中は外界との接触を絶たれるだけに、密室ミステリーの様相。

 曰く、「教皇は、ある枢密卿を死ぬ直前に解任した」

 この謎を解こうとすると、新たな疑惑が浮かび上がってくる。

 曰く、「ある枢密卿が30年前にシスターと交わり、子供を産ませていた」。

 こうした情報そのものが、選挙の策略だったことも見えてくる。

 俗世以上にドロドロとした聖職者の世界に、果たして観客は笑って良いのか、悲しむべきなのか、悩んでしまう。

 そんなところに突如、発生する爆弾自爆テロ。イスラム教徒を敵視する勢力が騒ぎ立てて、枢密卿たちも「分断」しかける。

 しかし、アフガニスタンのカブールから参加していた、アジア系の司祭が落ち着いた言葉で諭す。

 敵は外にいるのではなく、自分の心にいるのだ、と。

 ひょうたんから駒で、このアジア系司祭が次期教皇に選ばれるのだが‥‥。

 最後の最後のどんでん返しは、書かないでおきましょう。

 かなり前からら各国の教会におけるさまざまな性的スキャンダルが表面化しておりら、その権威はとっくに地に落ちていると、個人的には思う。

 でも、カトリック総本山のリーダーたる、ローマ教皇が世界に与える影響力はまだ捨てたものではないのでしょう。この映画がヒットしたのがその証左。

 「絶対視しない」という言葉が一番印象的だった。

 正義や宗教、権力、どれも絶対視した時点で驕りが生じて、見方も偏ってくる。相対主義を保ち続けるのは、確かに疲れる。だって正解がない、ということだから。

 物事を考えるうえで、相対視はとても大切な視座だと思う。