チリの闘い・新章。

「チリの闘い」三部作のパトリシオ・グスマンが、2019年10月のサンティアゴ市地下鉄の運賃値上げに端を発するデモ・暴動と、軍の出動、非常事態宣言、それに対する大規模な抗議活動と続く社会変革の動きを捉えたドキュメンタリー。

警察や軍による民衆への攻撃が案の定酷いものだが、道路を壊して砕いた石を投げつける民衆の怒りもまた激しい。イスラエル軍に対するパレスチナ民衆や香港警察による弾圧に抗議する香港市民の姿と重なるが、チリでの活動の目を見張るところは、本作冒頭に登場する、目出し帽の頭に花飾りを付けた女性に象徴されるように女性の活躍が目立つところ。

ピノチェトにより粉々に散ったチリの民意が、数十年を経て新憲法として形になる事態に感動。ただ、その後は再び右派勢力の勢いが増し、予断を許さない状況にあるようだ。