ヤングケアラーの残酷な現実。

<第20回大阪アジアン映画祭>の上映作品。

「よそ者の会」と「爽子の衝動」の二本立てでの上映。

寝たきりの父を介護するヤングケアラーの爽子の過酷な生活を描く。生活保護の申請を難癖つけて受けつけない職員が抜き打ちで訪問するが、その男には邪悪な企みがあり…

肉体だけでなく精神的にも障害者となった父親の性の処理まで行う爽子、子ども時代に父と一緒に描かれた似顔絵が一層の哀れさを感じさせる。

たとえ暴行まではないとしても福祉関係の職員が振りかざす特権意識を告発する挑戦的な意欲作。

なお、上映後に、川野邉修一（「よそ者の会」出演）、戸田彬弘（「爽子の衝動」監督）、古澤メイ（「爽子の衝動」出演）、間瀬英正（「爽子の衝動」出演）、小川黎（「爽子の衝動」出演）による舞台挨拶がありました。以下、トークの一部を抜粋します。

「よそ者の会」については、予算10万円で映画美学校出身のよそ者っぽいスタッフで作ったそう(川野邉さん)。

「爽子の衝動」については、知名度優先のキャスティングがまかり通る業界で世に出ていない才能を発掘する意味から企画が始まったそう。撮影は3日間(戸田さん)。

13kgの減量で挑んだという間瀬さんは、身体のサイズのことより役柄で苦労したそう。

初めての現場だったという小川さんは、台詞のない難しさに取り組んだとのこと。

大学の時にひとりぼっちだったので主人公の心情が理解しやすかったという川野邉さんによれば、爆弾はメタファーで、監督は「太陽を盗んだ男」からも影響があったとのこと。

自分の中で視野が広がった。こういう子がいるということだけでも知っていただければ(古澤さん)。