遊牧民の現在。

<第20回大阪アジアン映画祭>の上映作品。

舞台は、モンゴルと中国の国境、牧畜と馬術ショーの演者として生計を立てる主人公だが、気候変動により、牧草も少なくなり、父親の借金もあり、生活の糧である家畜を売り払うほどに困窮していく…

伝統的な生活が巨大な資本に飲み込まれていく様を描く作品。声高ではなく、静かな表現が余計に胸に迫る。

なお上映後に、チアン・シャオシュエン監督による舞台挨拶がありました。

まず、映像素材の関係で暗い画面での上映であったことに謝罪されました。

本作制作のきっかけは、主人公を演じるサイナさんに起こった出来事を伝えたいという思いから始まったそうで、もともと牧夫であり、馬術のショーをするようになったが当時は経済的に立ち行かず、という作品の通りの状況だったそう。

監督ご自身も6歳くらいから乗馬の経験があり、また、父もブリーダーをしているとのこと。

タイトルに込めた意味はいろいろあり、地元の状況として、牧夫は馬の肉を食べないので、馬はお金にならないためロバの肉として売るとのこと。また、映画の中で描かれるように遊牧民の生活は娯楽として消費されている。

また、内モンゴルと外モンゴルとの違いについて客席から質問がありましたが、監督の回答は、違いを答えるのは難しく、先祖は共通ということもあり、きっと牧夫によって違う。

温暖化で、多くの人が雪や雨が少なくなっていることは感じているとのことでした。