テロリズムとエロス。

＜アラン・ギロディ監督特集＞の上映作品。

特集上映の機会はあっても、日本ではこれまで劇場未公開だったアラン・ギロディ作品の一般公開。

独身の三十代、メデリックは、ランニング中に出会った売春婦イザドラに一目惚れし、金は払わないと前置きした上で口説くと、しばらく経ってから彼女から、なんとOKの返事。ホテルで行為に及ぶ寸前に市街地で大規模テロが。メデリックのアパートの前でアラブ系の青年セリムが金の無心、そしてアパート内で身を置かせてと懇願され、訝しみながら中に入れるが…

売春婦と嫉妬深い夫、テロリズムと過剰なイスラム嫌悪など社会の容赦ない一断面が描かれながらも、その乾いたユーモアから目が離せなくなる。現在のヨーロッパの現実を、誰も描かないような題材を介して表現したユニークな作品。