企画に意味は感じるが。

サヘル・ローズ初監督作。児童養護施設で育った体験を持つ少年少女が語る姿を撮影したドキュメンタリーパートと彼ら自身が自分を演じるドラマパート、さらに音楽パートなどからなる実験的な作品。

世界は親との繋がりだけしかない幼少期に受けた虐待は人生いつになっても心の傷となって残り続けると思われるが、そんな経験を物語のように語ることのできる彼らが逞しく見える。

とはいえ、その壮絶さを映画にして残したいという気持ちに意味を感じるものの、ドラマパートや音楽パートが残念ながら壮絶すぎる現実に対して見劣りして見えた。

2000年代の小泉政権の頃、貧富の差が顕著になっていないか問われた当時の首相は、そうは感じないと答えたが、企業の利潤優先にした政治の失敗が弱者にのしかかっているのだと思われる。