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鑑賞日 2025/04/24  登録日 2025/04/27  評点 55点 

鑑賞方法 映画館/神奈川県/TOHOシネマズ上大岡 
3D/字幕 -/字幕
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前例なき手法=失敗必至で誰もやらない手法、かな?

時代設定は恐竜絶滅の約6600万年前から現在までに渡る期間で、ほぼ全編が一軒家の居間に置かれたフィックスのカメラで撮影されるが、この撮影方法による長編映画は他に記憶がなく、世界初なのではないか?

人類に限れば、西欧人が来る前の先住民から現在のアメリカ人まで、
その場所に住んでいた7つの年代の別々の人達のエピソードが描かれる。

でも、中心になるエピソードは、
その家に1945頃から約60年間住み続ける家族についてで、
これは、その家族の一員であるトム・ハンクス演じる主人公が、
1951年生まれのロバート・ゼメキス監督とほぼ同年代で、
想い入れが強いせいだと思われる。

逆に、その家族が住む前と後の住人たちのエピソードは、
存在意義がほとんど感じられず、
最初から無くても構わなかった無駄なシーンが多かったとしか思えない。

この理由として考えられるのは、
「全編同じカメラ位置のフィックス撮影」という発想ありきの企画で、
そこから面白い映画にするために、
「描く期間をできるだけ長く」
「家に住んだ家族もできるだけ多種多様にする」
というストーリーにしたので、
結果的に想い入れの弱いシーンが増えたからではないだろうか?

--

「前代未聞の新手法の映画」といえば、
全編ほぼカット割りなしのワンカットで撮影した、
アルフレッド・ヒッチコック監督の『ロープ』があった。

たしかに面白い実験的な試みだったが、
でも、その後その手法はヒッチコック自身も使わなくなって、
むしろ「カット割りの多い監督」になり、
他の監督も、長時間の長回しをしやすくなったビデオカメラ時代になった後に、
いくつか「全編ワンカット」の作品が作られたが、
それも極めて少数に留まっていて、
結局「カット割りをするのが基本」は共通認識になっている。

それと同様に、『HERE~』の撮影手法も面白い試みではあったが、
「基本から外れた手法だったから、今まで誰もやらなかっただけ」だと感じた。

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撮影方法より驚いたのは、
トム・ハンクスの見た目を『ビッグ』(1988)や『スプラッシュ』(1984)の頃のまんまに若返らせたVFX。

(『ベンジャミン・バトン』(2008)でブラッド・ピットを若返らせた前例はあったけど)

顔だけでなく体つきも若かったから、
昔の彼の作品からの顔を元に作ったCGに、
他の若い俳優の体を繋げたのだろうか?

でも、声だけは今の声をそのまま使った感じで、
若い頃の彼の声とは異なり、若さがなかったのは不自然だったけど。

それにしても、こうなるといよいよ、
「俳優も全部CGで置きかえ可能で、俳優は不要になる」
の現実味が出てきたと感じた。

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メインのエピソードが描いていたのは、
「個人的な夢や願望は、家族を持つと家族を維持することが最優先になることで犠牲になるが、
それもまた人生」
だと思う。

それなりに良いストーリーだと思うが、
仮に、前述の通りの「無意味なエピソードの数々」を無くして、
その時間をメインのエピソードを更に膨らませるために使ったとしても、
これ以上良いストーリーに出来なかった気もする。

そんなわけで、メインのエピソードだけでは、
ストーリー的に分量不足だったのも残念なポイントの1つ。