切ない話だなぁ…仲良く3人暮らしをする美咲、優花、さくら。どうやら幼馴染のようでもあるが長女格の美咲、次女の優花、そして末っ子は元気で物おじしないさくらだ。

けれど…彼女たちの暮らしは少し変だ。世の中、人の中に紛れているようで人と交われない。なんと、彼女たちはいわゆる＜霊＞として存在しているのか。3人は人が、人の暮らしが見える。それなのに相手には見えない。例えていうなら…3人は透明な大きなバブルのような中にいて存在しているのだろうか。

その昔、合唱団の練習場に無差別殺人犯が押し入り、その犠牲になったらしい3人。そしてバブルの中で成長した3人が偶然出会ってしまった、合唱団当時のピアノ伴奏係・典真。現在の典真の人生もその事件が色濃く残っている。ある日典真に転機が訪れる。かつて所属していた合唱団の責任者に、次のコンクールの伴奏を頼まれるのだ。逡巡する典真だったが…

3人それぞれピンで主役を張れる女優が、誰が突出するわけでもなくしっかり調和がとれている。そして静かに流れる合唱曲が良い。霊の彼女たちが典真の演奏する合唱コンクールに＜飛び入り＞した場面はさらにさらに、切なくなった。

そして思うところ。横浜流星の存在感はさほど感じられなかったけれど…大河ドラマ『べらぼう』でイケメンだけの役者ではない吹っ切れた演技を身につけて、少し変わってきたように思う。かえってカッコ良くなった。