独立運動のインド叙事詩を描くエンタテイメント

　原題"RRR"。インドの実在の独立運動家ラージュとゴンド族の反乱指導者ビームをモデルとする、大英帝国総督への反乱を描く架空のストーリーの音楽映画。
　提督夫妻に部族の少女を連れ去られたラージュは身を隠して少女の奪還を目指す。
　対するゴンド族王子ビームは英国軍によって村を壊滅させられた父の遺志を継いで、反乱準備のために英国の警官を装う。
　お尋ね者のラージュを執拗に追い求めて逮捕するが、総督府に反乱を起こすという二人の目的は同じで、友情を通じ合ったビームは土壇場でラージュと少女を逃がし、最後は二人の超人的な活躍によって総督府を襲撃。大量の武器の奪取に成功する。
　二人はインド叙事詩『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』の主人公を模していて、神話の神を想起させるほどに超人的で無敵。アクションコミックのヒーローのような神業的な活躍をする。
　英雄を物語る音楽と祝祭的な踊り、CGを駆使した絵巻のような映像は、インド叙事詩そのものを描くエンタテイメントとなっている。
　英国総督が徹頭徹尾、植民地支配の残虐な圧政者として描かれていて、正義のヒーロー対悪者というヒーローコミックの構図を踏んでいるが、若干の史実を含んでいるためエンタテイメントに徹しきれず、イギリス人が見たらさぞ不快だろうと気遣わせ、若干モヤモヤ感が残るのが難。