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その人は昔
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舟木一夫の組曲のアルバムから映画化された異色作「その人は昔」であります。監督・脚本は松山善三、音楽は船村徹、朗読を民藝の宇野重吉が担当してゐます。製作は日活ではなく東宝の傍系・東京映画。カラー・シネマスコープ、99分。 舞台は北海道・襟裳の百人浜。ここで舟木一夫と内藤洋子の若いふたりが恋に落ちますが、お互ひの家は極貧で、将来に対する夢が描けません。それで二人で駆落ち同様に東京へ出るのです。舟木は印刷工場に勤め、内藤は喫茶店で働きます。夜になるとタイプの学校へも通ふ生活で、二人は貧しくも充実してゐました。 東京生活に慣れるに従ひ、舟木はギャンブルに手を出すやうになり、内藤は金持ちの男に見染められて次第に派手な生活を送るやうになります。内藤は男が与へる高価な服や靴やバッグにより、これが求めてゐた幸せだと感じたのです。舟木は彼女に目を覚ますやうに説得しますが、内藤は舟木が嫉妬してゐると思ひ聞く耳を持ちません。 或る日内藤は男に会ひに行くと、男は女性を同伴してゐました。彼女は妻だと内藤に紹介し、自分はもうすぐ外国に行く身であるから、今後会へないと、手切れ金を渡すのでした。 傷心の内藤は再び舟木の元へ行き、舟木は暖かく迎へます。そして翌日11時、夜勤明けに会ふ約束をします。二人は夫々、その時刻を楽しみに待つのですが、舟木はもうすぐ退勤だと時刻に、機械に指を挟まれて大怪我、病院に運ばれるのです。時間を過ぎても約束の場所に現れない舟木を、内藤は汚れた自分は嫌はれたと思ひ違いします。そして一人でボートに乗り、そのまゝ消えてしまふのです...... 音楽組曲の映画化なので、のべつ幕無しに歌が挿入されます。ステージでは舟木のワンマンショウで良いですが、映画となると相手役が必要なので、当時東宝のアイドル女優だつた内藤洋子が起用されてゐます。物語を歌詞で説明する展開で、いはば和製ミュージカル仕様。主要人物は舟木と内藤の二人に絞られ、他の人物は二人を彩る風景としての登場。 主題歌は「心こめて愛する人へ」(舟木一夫)、挿入歌「白馬のルンナ」(内藤洋子)、「雨の日には」(内藤洋子)、「恋のホロッポ」(舟木一夫、内藤洋子)、「今度の日曜日」(舟木一夫、内藤洋子)が披露されます。デコちゃんが歌ふ白馬のルンナは特に印象深いけれど、あんな貧しいのにどうして白馬を飼へるのか不思議であります。あの呑兵衛親父が真先に売つて飲み代に変へさうですが。 物語は地方の貧しい若い男女が、東京の荒波に翻弄され悲劇的な最後を迎へるといふもの。東京へ出ないと幸福になれないのか、現在でも若い人は猫も杓子も東京へ出たがるけれど、そんなに良いかね。デコちやんが身を以て「幸せとは何か」と云ふ古典的なテエマを追及してゐます。ストオリイはともかく、舟木と内藤のファンにアッピールする為のプロモーションヸデオとでも云ふべき面がありますので、その心算で鑑賞すればよろしからうと存じます。
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