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鑑賞日 2012/06/13  登録日 2025/04/12  評点 65点 

鑑賞方法 選択しない 
3D/字幕 -/-
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母の名前がフネと判明

 シリーズ第三作目、「サザエさんの青春」であります。三作目にして総天然色。監督・青柳信雄と脚本・笠原良三は同じですが、音楽は原六朗から松井八郎&内藤法美に交代。タイトルバックに流れる主題歌もダーク・ダックスから江利チエミ本人による歌唱に変更。最初からかうあるべきでせう。でもこの歌は良く知つてゐる「サザエさんつてどんな人~」てやつとは違ひますね。併映は「地球防衛軍」。おお。おお。

 サザエさん(江利チエミ)とフグ田君(小泉博)の婚約が正式に決まり、仲人の山中老人(柳家金語楼)も使者として挨拶に来ました。ところが肝心のフグ田君は一年間の九州出張が決まり、結婚も一年間延びてしまふ。サザエはこの一年の間に、花嫁修業に専念する事を決心します。まづ母(清川虹子)から家事一切を引き継ぎ、家計も担当すると云ふ事で、父(藤原釜足)から毎月の月給袋を預る事に。

 更に育児の練習の為、ノリスケ君(仲代達矢)とミチ子さん(青山京子)の赤ん坊を借りて奮闘します。しかし家事では皿や茶碗を割りまくり不必要な保険を契約したりと、家計は赤字に。それを埋める為にデパートでパートに出ますが、これまた失敗ばかりで、たつた一日で辞めてしまひます。

 そんな中で、サザエが親切にして感謝された婦人客(藤間紫)がゐて、彼女の夫はサザエの父が勤める会社の専務(益田キートン)でした。専務夫人は息子の鯉一(江原達怡)の嫁にしたいと考へ、パーティに招待します。実態はお見合ひであります。サザエの父は断り切れず、サザエは父の顔を立てる為、渋渋パーティに参加します。

 ところが屋外で鯉一と踊つてゐると、九州に出張中だと思つてゐたフグ田君が偶然現れました。鯉一は何も知らないので、サザエさんとお見合ひだと話してしまふ。すつかり誤解したフグ田君、激怒して「さよなら」とその場を去つてしまふのでした......」

 今回もサザエさんは豪快に失敗の連続。皮だけのミカンを客に出すし、横向夫妻(本郷秀雄・中田康子)が建築中の家にケチをつけまくり、ノリスケ夫妻の赤子を他人の子と取り違へ、江原達怡の帽子に尻を乗せ、客の採寸で頓珍漢な失敗、試着室の客を放つたらかし、客の尻に針を刺し、一メートルの尺貫法を知らず洋裁の客を逃がす、専務宅では人形の手を捥いでしまふ......他にも色色あつたと思ふけど、フト思ひ出すだけでもこれだけあります。

 それから由利徹扮する魚屋に、「サンマ一匹8円は高い」と文句を言ひ、由利が「ぢやあ四匹30円でどうです」と云ふのに対し「高い。五匹40円にしなさい」と、わざわざ損する取引で満足して帰るシーンもありました。由利に「算数弱いな」と独り言を言はれてゐました。お馴染みの突然ミュージカル場面もふんだんに登場。駅へ向ふ雑沓の中でも踊り唄ふ姿は、まるで後の植木等のノリであります。

 レギュラー陣では、カツオ役が小畑やすしから白田肇に変更。サザエの背中に赤ん坊ではなく枕を背負せる悪戯でやつてくれます。ワカメは松島トモ子が続投、今回はサザエに振り回されるシーンが多く、ムクレる顔も可愛いです。父が母の名を忘れてサザエに聞くと云ふ場面あり。初めて「磯野フネ」と云ふ名が明らかになりました。居候ノリオの藤木悠はすつかり磯野家の一員。兄ノリスケ仲代達矢の出番は少なめ。

 その他、建築中の家を貶されムクレる横向夫妻に本郷秀雄・中田康子、ご近所多胡夫人に一の宮あつ子、洋裁の仕事を依頼に来たのに誤解される税務署員に有島一郎、「ほんの一口」でサザエに契約させる保険員に小桜京子、元小使の三木のり平は伊佐阪先生で定着して欲しかつた。

 魚屋に由利徹、その御用聞きに八波むと志、専務一家は益田キートン・藤間紫・江原達怡、赤ん坊を取り違へたサザエを叱る看護婦に若水ヤエ子、デパートの部長に千葉信男、婦人服売り場でサザエに散々な目に遭ふのは岡村文子&塩沢登代路(塩沢とき)、間抜けな空き巣狙ひに空巣狙いは沢村いき雄&丘寵児など、多士済々たる面子がサザエを支へます。

 最後はフグ田君の誤解も解け、運動会賞品の夫婦茶碗を前にアツアツの二人。次作こそ結婚か?と思はせますが......どうなりますやら。次作は「サザエさんの婚約旅行」であります......