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鑑賞日 2012/06/29  登録日 2025/04/17  評点 50点 

鑑賞方法 選択しない 
3D/字幕 -/-
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タラちやんは今上天皇と同い年?

 シリーズ第八弾、「サザエさんの赤ちゃん誕生」であります。原作・長谷川町子、監督・青柳信雄、脚本・笠原良三&蓮池義雄、音楽・神津善行。引き続き宝塚映画製作。総天然色シネマスコープ(東宝スコープ)、86分。

 第八作目にして漸くタラちやん誕生。しかし生れたばかりなので、アニメのやうに一人前に喋つたりは当然出来ません。それどころかかなりの部分で人形を使つてゐて、まあ手抜きとも申せませう。

 サザエさん(江利チエミ)は立派に男の子を産みますが、仲人山中老人(柳家金語楼)を始め、周囲の皆が名付け親になりたがるのでマスオさん(小泉博)も困つてゐます。で、結局くじ引きで決める事にしましたが、くじの中身はすべてマスオが考へた「タラオ」になつてゐて、インチキでした。とまれ無事に命名は終了。

 能天気に明るい話ばかりではなく、育児方針を巡つてサザエと母フネ(清川虹子)が対立したり、サザエがタラオに構ひ過ぎて放つたらかしにされたマスオが不満を爆発させるなど、古くて新しい問題がリアルに提示されてゐます。理解ある優しい夫である筈のマスオさんが、自分本位の振舞ひを見せるのは辛いですな。

 マスオの妹タイ子さん(白川由美)も恋人辰野くん(江原達怡)と遂に婚約。因みに映画版ではタイ子さんはノリスケの妻ではなくてマスオの妹。ノリスケと結婚したのはミチ子さんと云ふ女性でした。で、タイ子と辰野の間を取り持つたのがサザエなんですが、その方法が良く分かりません。

 医者の卵辰野を、タイ子の母(梅野公子)に認めさせやうとして、タラオが日本脳炎だとか小児麻痺だとか辰野が好い加減な診断をしてお母さんをショックで気絶させてしまふのです。直ぐに嘘だとバラしますが、タイ子ならずとも怒るところです。悪趣味で、サザエの意図が分からないのでした。

 険悪なサザエ夫婦を見かねたフネが、二人きりでの温泉旅行を勧めます。マスオの連休を利用して早速熱海らしき温泉街へ向ふ二人。ちよつとした切掛けで直ぐにアツアツに戻るのが良い。具体的な地名を出さないしクレジットにも協賛がないので、観光気分はイマイチです。

 「すは、タラオ誘拐事件か?」の騒動を経て、最後はマスオ共々「ビビディバビディブー」で締めます。無理矢理明るくエンディングを迎へますが、要するに赤ちやん誕生のイヹントのみで引張るので内容は薄い一本になつてしまつた感があります。大物ゲストも不在で少し寂しいのでした。救ひは、江利チエミその人ですね。やつぱり彼女は凄い!