黒さの言い訳としての橙

黒味の強い画面に黒いレザージャケットを纏った人物が動き始める．3人組の男がベンチで仲良く腰掛けている．顔色は悪く，表情も硬い．一人はやたらと汗をかいている．この3人組が黒い男をトイレで襲うが，反撃を喰らう．この黒い男が，話題となるマックス・ペイン（マーク・ウォールバーグ）らしい．
あるパーティー会場では，青い薬を手にするものがいる．赤いドレスの女ナターシャ（オルガ・キュリレンコ）が見えている．おりしもこのニューヨークのストリートに雪が舞っている．雪は雨に変わっている．マックスは警察の元相棒と雨の中で言い争っている．そしてその相棒も殺され，その葬式ではみな黒っぽい服を着ている．それにしてもマックスはよく襲われる．殴られ，意識を失う．姉を名乗る女性モナ（ミラ・クニス）に銃を突きつけられ，殴られる．廃墟のような建物に入れば，苦痛の叫び声が聞こえ，タトゥーの男が翼の生えた何かに引きずり落とされてしまう．
オレンジの光に包まれて，ニヤついているマックスが現れる．彼は自宅にいるが，そこで妻が殺されているのを発見して，ニヤつきも消えている．そして妻が働いていたオフィスでひどい撃ち合いが始まり，撃ち殺される者も数人はいる．回想は黒いマックスの理由として見えているが，少し美化されすぎているようにも思える．埃なのか，寒さのために人間が持つ熱が蒸気に変わるからなのか，薬が開発され，精製されている暗い建物の中で，白い蒸気が立ち上っている．そして撃ち殺した者たちの血飛沫が蒸気の中に赤く滲むように現れている．氷が浮かぶ海の中に墜落しているマックスは，青い薬を飲むと無双となって，雪が火の粉のようになり，炎がオレンジの光を伴って巻き上がり，マックスはいよいよ警察のオフィスにも乗り込んで，多くの人間たちを殺していく．オレンジと炎は，彼の美しい過去を思わせる．画面が揺れ動く．華々しい爆破もある．ヘリポートのある屋上で，最後の対決が執り行われている．