光の時間

闇と光の間に何があると言うのだろうか．砂嵐とも言っていいような，砂と風が一行を吹き付けており，その中に1945年に行方不明になっていたオールドな戦闘機が見えてくる．
インディアナ州で停電がある．靄の中でロイ（リチャード・ドレイファス）は対応を迫られており，オハイオ州へと3対の飛行物体「光」が飛んでいくのに遭遇する．光は太陽でもあり，日焼けをすることが遭遇の証拠にもなって，遭遇した者に刻印される．
ロイは，二人の子はやんちゃで，ピノキオや十戒などにもあまり関心を示していない．
モンゴルの砂漠にも軍が調査飛行をしている．カメラでの撮影が行われようとしている．インド北部では5音だけが聞こえてきて，集団によって宗教的に，単純に唱えられている．その後，ワイオミング州に舞台が収束し，立入禁止にされるのと逆行するように，軍と主要な人物たちが集まってくる．
5音に対応した手話法を使うラコーム氏（フランソワーズ・トリュフォー）は，科学そのものが起こると言う．ロイは山のような盛り上がるイメージに取り憑かれてしまい，泣き出す．彼は二次元や三次元の造形で再現を試みるがうまくいかない．息子のバリー坊やを未知の光に攫われた母ジリアン（メリンダ・ディロン）は，得意な絵でそれを描き表そうとしている．ロイは，いよいよ自宅や近所の様々な物をかき集め，狂ったように室内に模型を造形する．その部屋にあるテレビモニターから流れるニュースで，デビルズタワーが映され，その形が同期している．
ロイの妻ロニー（テリー・ガー）は子達を引き連れ，狂ったロイから逃げ出していく．立入禁止区域に向かうジリアンとロイは，時が止まったように斃れた家畜たちにも遭遇する．あたりが暗くなると，祭祀場に降臨したかのように，タワーの麓に赤や青の光，そして白い光の造形が現れている．その白い光の中から過去の人たちが現れてくる．その後，未来の人のような者たちがやはりその中から出てくる．光と闇の間に時間があふれてくるようでもある．