家と父と遺灰

2階の窓から外に出ると屋根の上になる．違いが10歳と16歳の時にはすでに親友で，海岸「シースモーク」へドライブをして，海水浴に走り出し，桟橋を走り出し，免許もないのに風を切りながら道路を突っ走る．運転するのはケイティ（ジョディ・フォスター）で，隣の助手席にサングラスをかけて，少し大人ぶってタバコを吸っているのがビリーである．
何年経ったのだろうか．ビリー（マーク・ハーモン）は野球選手になっており，ケイティは拳銃自殺をしている．ビリーは彼女の遺言で遺灰の処分を託されている．遺灰は金の壺に入れられている．ビリーは，車に乗り，列車に乗り，故郷カールトンに戻り，そしてケイティとの思い出が，彼女を失った現在と並行して，映し出されていく．過去の美しい，そして切ない思い出は，懐かしいヒット曲ととともに流されていく．
アップルビー（ハロルド・レイミス）というもう一人の親友がいて，ビリーは彼とも再会を果たす．高校当時のユニフォームをいつの間にか装着し，酒も入ったのか，ビリーは陽気に見えている．高校の卒業パーティー当時の恋人にも再会し，ケイティからもらったお守りがわりのペンダントも取り戻している．彼の躁状態はさらに持続しているように見える．はしゃぎながら，思い出の桟橋で遺灰を撒き散らし，壷も海へと投げ込み，カモメらしき海鳥が宙を舞っている．この一連のシーンには，ケイティとのエクスタシーの瞬間が暗示されているようにも見える．彼女は海であり，空でもあったのだろう．
原題にもあるようにホームスチールもひとつのモチーフとなる．彼が取り戻そうと，欲望し，幻想のように現れた故郷での現在の様子は，ホーム（家庭）との関係があるらしい．彼は早くに父を亡くしている．彼は父になれたのだろうか，なれるのだろうか，そして幻想のなかにでなく，現実のうちに家庭を築くことができるのだろうか．ケイティは教会を否定していた．