パスワードを忘れた方はこちら
※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。
メールアドレスをご入力ください。 入力されたメールアドレス宛にパスワードの再設定のお知らせメールが送信されます。
パスワードを再設定いただくためのお知らせメールをお送りしております。
メールをご覧いただきましてパスワードの再設定を行ってください。 本設定は72時間以内にお願い致します。
戻る
KINENOTE公式Twitter
映画・映画人登録リクエスト
ゴースト ニューヨークの幻
Like0
オダ=メイ(ウーピー・ゴールドバーグ)に魅せられる.彼女の顔芸や憑依芸はもちろん,奇天烈な衣装や存在そのものが美しくもある.それにしてもなぜ,モリー(デミ・ムーア)のダンスの相手は,オダ=メイではなかったのだろうか.彼女(オダ=メイ)の中にいたのは確かにサム・ウィート(パトリック・スウェイジ)であったが,それは彼女(モリー)の中だけの見え方であったのだろうか.わたしたち観客は誰の何をみていたというのだろうか. モリーはこのダンスの時,目をつぶっている.観客の目はおそらく開いており,そこにモリーとサムがスローにダンスする姿を見て,多くの観客は感動をしているに違いない.このときダンスの相手がオダ=メイであったら感動できなかっただろうか.あるいはモリーが目を開けて,そこにいるはずのオダ=メイを目の前にしていたら,モリーはサムとの感触や感傷に浸れなかったのだろうか.ダンスナンバーがこうした疑問を押し流すようにして,次の場面へと物語は先へ先へと急いでいく. モリーやサムには,来歴がなく,映画の冒頭で突然,ニューヨークのダウンタウンにあるアパートの上階にいて,天使の彫像を窓から迎え入れている.彼女と彼の馴れ初めも,家族もわからず,天使を受け入れる人たちとしてそこにいて,そこにはカール・ブルーナー(トニー・ゴールドウィン)もいる.モリーを挟んで二人が対になって,スリーショットとして現れる構図は,映画の中盤にもある.天使か悪魔か,天国か地獄か,行動の選択が求められるが,モリーは,物語において決定的な行動を取ることはしない.彼女は受け身であり,名前として言い当てられた「マリア」的な存在でもある.天国行きか,地獄行きか,その行動によって判定されようとしているのは,オダ=メイであり,カールの欲や悪が,最初は小さなきっかけであったにしても,人間の死を伴うような大きな結果となり,カールは罪を背負うことになり,彼が劇中で断罪されるかどうかが一つのスリルにもなっている. オダ=メイの前科は彼女の生きてきた証でもある.詐欺などで実刑もくらいながら,またインチキまがいの霊媒師を稼業としている.また,実行犯でもあったロペス(リック・アビレス)との過去の関係まで掘り起こされてしまう.あるいは地下鉄の車両を縄張りとしているあの幽霊(ヴィンセント・スキャヴェリ)も永続する怒りの中にあるように見える.こうした人間的な人間(あるいは幽霊)たちのすれすれの行動が,ダンスに昇華されてしまうところに,観客は観客の視線の罪を感じることができるのかもしれない.
鑑賞日
登録日
評点
鑑賞方法
送信