・韓国の現代社会の一つの暗部を丁寧に、繊細に描く作品　重く、つらい内容であるが、実際の自とその背景をあけすけにするこの作品を世に出した気概が感じられる
・前半の少女が自殺するまでのパート　ダンスに打ち込む少女、インフルエンサーの友人との関係、男性友人との交流から見えてくるごく普通な少女の日常、うっすらと感じられる貧困と若者世代の過酷な就労環境　男性友人が職場でいじめられ坊主になる面を含め、報われない若者の生活がリアルに描かれる
・少女の職場である退会阻止を目的としたコールセンター　顧客の利益は度外視とした組織、会社優先の職場方針　高校生の実習ということで成果報酬や労働時間を搾取する労働環境　電話先の顧客を否定する業務　徐々に精神的に蝕まれていくのが的確に描かれている　色々なブラックな職場があるが、このような業種のブラックさを可視化できていることに驚きました
・チーム長の自殺から始まり、業務の意義に疑問を覚えた少女の自殺には逃げ場がなく本当につらい
・後半のペドゥナ演じる捜査パート　社会的な歪が徐々に明らかになる過程もひたすら苦しい　実習生を食い物にする職場（ほかの底辺環境にも送り込まれるのも描かれる）、就職率という数字に固執する学校、補助金制度の評価が就職率でのみしか判断できない教育庁　社会的背景が弱者を単純に食い物にしている
・気概のある刑事がいるおかげでこの社会的な歪が明らかに　この部分は創作とのことであるが、この作品をエンタメに昇華する手法として最適　監督の執念が感じられる　このような作品が送り出せる韓国映画業界は改めてすごいと感じた
・この作品をきっかけに間違ったシステムが良いほうにシフトすることを願う