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鑑賞日 -  登録日 2025/04/22  評点 81点 

鑑賞方法 VOD/Disney THEATER 
3D/字幕 -/字幕
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ギフトか、呪いか

前作、過去に転送されたウルヴァリンの活躍により歴史が大きく変わり、ミュータントの存在が受容されるようになった世界線の物語。
そこからどのようにしてX-MENが結成されたかが描かれる。

レイヴンは一躍英雄として崇められるようになったが、エリックは世界を恐怖に陥れた元凶として追われる身になっていた。
エリックは人類と共存する道を選び、妻子と共に細やかな生活を送っていたが、密告を受け警官隊に包囲されてしまう。
人助けをしたことで素性がバレてしまい、窮地に立たされてしまうのは何とも皮肉なことだ。
結果的にエリックは妻子を亡くし、復讐のために再び人類に牙を剥くことになる。

さて、前作でウルヴァリンが戻った世界では、亡くなったはずのジーンやスコットも生きていた。
平穏な学園の様子から、それほど大きな厄災は起こらなかったのだと思っていたが、実は人類は破滅寸前まで追い詰められていたことが分かる。

チャールズによりX-MENとの記憶を消去されたCIA工作員のモイラは、あるカルト集団の儀式を目撃する。
そして偶然にも彼女が介入したことで、永い眠りからミュータントの祖ともいえるアポカリプスが復活してしまう。
アポカリプスは黙示録の通りに四騎士を従え、人類の文明を破壊し、再び世界を浄化しようとする。
絶望の淵に立たされたエリックも、マグニートーとして四騎士に加わることになる。
そして、セレブロで全人類及びミュータントと繫がることの出来るチャールズは、世界の浄化の要としてアポカリプスに連れ去られてしまう。
チャールズを取り戻すため、世界を守るためにミュータントたちは、レイヴンを先頭にアポカリプスに立ち向かう。

シリーズを重ねる度にどんどん深みが増していくX-MENだが、今作は最もストーリーとキャラクターが魅力的だった。
特に羨望の的となり、迷いのなくなったミスティークが、これまでにないほど逞しく感じた。
また若き日のジーンやスコット、ナイトクローラーの初々しさも印象的だった。
特にピーターの能力の凄まじさに圧倒される。
実は人を助けるという点では、X-MENの中で彼の能力が一番飛び抜けているのではないか。
ほんの僅かだが、記憶を失ったウルヴァリンが暴走するシーンも印象的だ。

この作品のテーマのひとつは、人より優れた能力はギフトでもあるし、呪いでもあるということだ。
正しく使わなければ、やがて身を滅ぼすことになってしまう。

特にジーンやチャールズのように相手の心を読む力は危険と隣り合わせだ。
人はどれだけ近しい相手でも、完全に心を理解することは出来ない。
だから悩み、苦しむ。
しかし、人は心が読めないからこそ、寄り添い合える存在でもある。
どんな偉人や聖人でも、必ず心のどこかに醜い部分を抱えている。
どれだけ思いやりのある人でも、完全に自分より他人を優先出来る者はごく僅かだろう。
もし、人の心の醜い部分まですべて分かってしまったとしたら、それは苦痛でしかない。
完全に理解し合うことは出来なくても、人は信じ合わなければ前には進めない。

強大な敵アポカリプスを前にして、ミュータントたちが互いの力を信じて立ち向かう姿に心を打たれた。
この作品でチャールズがスキンヘッドになった理由が明かされるのも面白い。