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鑑賞日 2025/04/05  登録日 2025/04/20  評点 63点 

鑑賞方法 テレビ/有料放送/東映チャンネル 
3D/字幕 -/-
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軽く楽しめる講談調のエンタテイメント

歌舞伎でもお馴染みの「天保六花選」に基づくエンタテイメントである。小国英雄脚本のストーリーテリングの巧さでなんとか最後まで見られた。伏線も巧みで筋の運びも無駄がない。屋形船で金子市之丞(大川橋蔵)が美人局(つつもたせ)をやって50両をせしめる前半でのエピソードが、後の場面で効いてくるところなど巧いなと思う。
中野硯翁(月形龍之介)の屋敷に無断で入り込んで、片岡直次郎(里見浩太朗)の親孝行を河内山宗俊(山形勲)や暗闇の丑松(渥美清)ら仲間がよってたかって助け合う。そこへ突然訪ねてきた硯翁を丸め込む展開は小国英雄らしい話術の最も冴える所である。
橋蔵の金子市之丞の女たらしというのは東映時代劇のヒーローにしては珍しい役どころだった。千原しのぶ、桜町弘子、花園ひろみと三代にわたる東映三人娘が市之丞に絡むのは華やかでもある。
浪花千栄子が直次郎の母親を演じているのだが、まさに適役であり好演である。予定調和の講談調を類型に終わらせない味わいを添えて演じている。予定調和的な軽喜劇に深い味わいを添えるのは、彼女が育った松竹新喜劇の、大衆を喜ばせつつ大衆に媚びない強(したた)かな感覚が如実に現れた所だと思う。