備忘メモ：
私がイメージしていた児童養護施設は、「タイガーマスク」で描かれていた孤児院で両親が亡くなって一人ぼっちになった子供達が生活するところ。過去の実写テレビや映画でも、出た後で、過去の経歴を消したい主人公が犯罪に走ってしまう様な描かれ方をしていた。当作品で観た現実は違っていた。皆、子供として（人間として）自由に発言していたし（そう見えたし）、ネパールへ行って現地の子供たちに日本のことを伝えるボランティアもあって世界と交流する機会もある等、驚きだった。日本には600もの児童養護施設があるそうなので、こんなに素敵な施設は少ないのかもしれないが、そこは各施設の努力や経営意識の違いなのだろう。先ずは、そこに驚いた。

子供一人一人に焦点を充てていく構成だが、年齢が小さい順で紹介していく。小さい子たちは、自由闊達に喋って活動しているが、一点気になったことは、「施設は家ではない。一緒に住んでいる人達は家族とは思えない、他人と一緒に住んでいる」「学校で出会うと、ちょっと気まずい」と普通に発言している。施設職員の前で平気でそういうことを言えるので、ある意味、変な忖度は無いので、健全かもしれない。ただ、年齢が上がっていって、もうすぐ卒園（一応の規則として、高校卒業後は自立するのだそう）の時期になると変わってきた。ネパールの子達が「施設は家族」と明言する姿に、17歳の日本人女の子は影響を受けた様だ「自分の駄目な部分を見せつけられた気がする」と率直にインタビューに応えていたのが印象的。そして、大学へ進学したスミス君に至っては「施設は家族」と明言していた。うーん、やっぱり、子供の頃は、心の整理が未だ付いていないのかも、と勝手に思ったりした。この施設では、そういう心の整理も支援しているんだなぁ、温かく見守っているんだなぁ、と感じた。
全然、説明的な内容ではなく、子供達の素を映している様なところが、とっても良かった。どの子供にも親がいる様で、「じゃあ、何故、施設に来なければいけなかったのか？」と観ていて感じた。その事情を知りたい、と思った。でも、そんな説明は一切していない。きっと、子供達も同じなんだろう、何故ママ・パパは自分をここに連れてきたんだろう？って、自問しなら、戸惑いながら歩んできたのだろう。