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仕立て屋の恋
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仕立て屋の恋 以前から気になっていた作品であったが、間近の配信停止をきっかけに選択。孤独な男を主人公にしたもので1989年のフランス作品であるが、実は1933年のジョルジュ・シムノンの小説を原作とし、1946年に巨匠ジュリアン・デュヴィヴィエが映画化したもののリメイクであり、時代を超えた普遍的なテーマであることが伺える。 仕立て屋の中年男イールは、頭は禿げ上がり風采が上がらず、さらに、人嫌いの性格もあって周囲からも疎んじられている。故に、人と接せず定型な日常を過ごしている。といっても、「PERFECT DAYS」の主人公ように、すべてを達観してそうした日常を選択したという訳ではなく、周囲に嫌われているだろうと言われて、自分も周囲を嫌っていると答え、欲望を抑えるために娼婦を買うような人間であるところが共感を呼ぶ。そんな彼が執着するのは、隣のビルに住む美女アリスの部屋を覗くこと。暗い部屋の中で、じっと覗く彼の姿は異様でしかない。イールは覗きの中で、アリスの恋人エミールが殺人の犯人であることを目撃する。そんな中、イールに覗かれている知ったアリスが、イールに接近してくる。このあたりのアリスの演出が、恋人の犯罪を隠蔽する目的なのか、気まぐれでイールを弄ぶためなのか、はっきりさせていないことがサスペンスを盛り上げる。そして、さらに、警察の追求を知ったエミールが、アリスを置いて逃亡する展開になり、ひょっとして、イールの恋が成就するのかと思わせておいて、そんな夢のような展開は現実にはありえず、アリスがイールに恋人の罪をかぶせるためであったことが判明する。警察に追われたイールは、屋上から転落死する。転落の途中に、イールがアリスの姿をみる切なさがいかにもフランス映画らしい。孤独な男が一瞬身分不相応な夢を見たために破滅するなんて救いのない話だと思っていたら、刑事に残した手紙により、事件の真相が明らかになるという結末に唸らされた。 監督のパトリス・ルコントは、イール役にミシェル・ブランという絶妙のキャスティングを得て、80分という短い尺できちっとしたサスペンスで楽しませてくれた。願わくば、本作の後に撮った「髪結いの亭主」もいつか見てみたい。
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